映画『プリンス ビューティフル・ストレンジ』音楽界に多大な影響を与え続けた男の真実に迫る

レビュー
(C)PRINCE TRIBUTE PRODUCTIONS INC.

1978年のデビュー以来、常に新たなサウンドへの探求を続け、いわゆる「80’sミュージック」と呼ばれる洋楽シーンにおける代表格の一人として君臨、さらに時代を超え音楽ファンに「見たこともない世界」を見せ、驚かせ続けてきたプリンス。

その真実に迫るドキュメンタリー『プリンス ビューティフル・ストレンジ』が公開となります。

世界の音楽シーンを常にリードしてきた彼は2016年に急逝、世界に与えた影響が大きかった彼だけに、この突然の別れもまた、世界に大きな悲しみを与えました。

一方、音楽を通じビジュアルも合わせて、わりにスキャンダラスなイメージも作り上げてきたプリンスの作品でしたが、そのプライベートは謎に包まれた印象でもありました。

そんな彼の知られざる内面に迫ったこのドキュメントは、80’sでドップリはまった音楽ファンは必見。非常に興味深い作品であります。

映画『プリンス ビューティフル・ストレンジ』概要

作品情報

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2016年に57歳で急逝した孤高の天才ミュージシャン、プリンスの生涯と真実を追った音楽ドキュメンタリー。

プリンスの地元であったミネアポリスの黒人によるコミュニティ「ザ・ウェイ」での音楽的な目覚め、原体験や、彼の恩師・家族が語る幼少期のエピソードなどとともに生前深い交流のあったチャカ・カーン、チャックD、ビリー・ギボンズらミュージシャンのインタビューで、プリンスというミュージシャンの真相に迫っていきます。

ナレーションを担当したのは『遊星からの物体X』『プラトーン』『リディック』『NOPE ノープ』などの俳優キース・デビッド。

あらすじ

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黒人差別が根強く残る1958年のアメリカ・ミネソタ州ミネアポリス。住民のほとんどが白人という環境下で多感な青春時代を過ごした青年、その本名プリンス・ロジャーズ・ネルソンといいました。

彼はプリンスの名で1978年にデビューを果たし、1980年代の自伝的映画『パープル・レイン』とそのサントラのメガヒットで世界的スターとなりました。

そして12枚のプラチナアルバムと30曲のトップ40シングルを生み出し、7度のグラミー賞を受賞、2004年にはロックの殿堂入りを果たすなど、他の追従を許さないクリエイティビティを遺憾なく発揮、生涯にわたって音楽界のトップに君臨し続けました。

作品詳細

製作:2021年製作(カナダ映画)

原題:Mr Nelson on the North Side

監督:ダニエル・ドール、エリック・ウィーガンド

出演:プリンス、チャカ・カーン、チャックD、ビリー・ギボンズ、ランディ・クエイド、ランディ・バックマン、スパイク・モス

配給:アルバトロス・フィルム

劇場公開日:6月7日(金)より全国ロードショー

公式サイト:https://prince-movie.com/

音楽で多大な功績を築き上げた男の知られざる姿を追う

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このドキュメンタリーは、プリンスが作り上げてきたもの自体の評価というよりは、彼のもの作りの経緯から見えてくる人物像を追うところに重点を置いた物語であります。

まだ黒人差別が根強く残る彼の青年時代、自分たちの居場所、位置を築き上げるべく作られたコミュニティ「ザ・ウェイ」で築き上げられた音楽への興味と素養、人間関係。父がジャズミュージシャンであったことと加え、この経緯は彼の音楽的ルーツを大きく羽ばたかせる原動力となります。

そして作り上げられた「プリンス伝説」。この物語で描かれているプリンスの姿は、彼の作品で描かれていた「スキャンダラスな印象」とは全く異なるイメージで「常に音楽という創作に命がけで向き合っていた」という印象であり、結果的に彼の短命な人生の要因になったのではないかと、衝撃すらおぼえるところであります。

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今も彼が生きていたら、彼の見せてくれる新たな音楽世界は果たしてどんなものだったのだろう?また世界の音楽シーンはどう変化していっただろうか、などとふと思われる方もいるのではないでしょうか。

しかし一方で本編から見えてくるイメージからは、彼のクリエイティビティは決して喜びだけではなかったのではないか?という印象も垣間見られ、クリエイターの苦しみという非常に大きなテーマが埋め込まれた物語であるとも感じられます。

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また本作は彼の人間的な面に迫る点においても興味深いポイントがあります。一世を風靡し、創作の現場ではスタッフに相当な厳しさを見せていたという彼は、当初は人前が苦手だったという事実。

1984年に発表された彼の主演映画『パープル・レイン』は、その斬新なイメージで多くの注目を集めた作品でしたが、ライブの演奏シーン以外において、その演技はどこか伏し目がちで相手を直視しない、彼の少し不自然な表情が印象に残る作品であり、この事実がうなずけるところでもあります。

前衛性を前面に出しながらも、自身の作品に絶対の確信をもって発表を続けたプリンス。その裏側にはこんな人間的な面があったのかと、どこか身近に感じられるようなイメージも見えてきます。

物語のラストでは彼の魅力に取りつかれた人々が、その別れを振り返り涙するシーンが映し出されますが、そんな人物関係を感じさせるシーンからも、プリンスという偉大なアーティストの新たな魅力が再認識できることでしょう。

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