映画『リバウンド』2AMのチョン・ジヌンがはつらつプレーを披露!韓国発青春バスケットボール映画

レビュー
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韓国のスポーツ界は、かつて88年代のソウルオリンピックを中心に国策として強化を実施していた背景があり、実績が見込める選手を選りすぐって強化を進めるエリート主義的方針がありました。

そのため学校教育の中でもスポーツクラブは少ない傾向でスポーツや競技が好きでも学校のクラブチームでプレーするのは難しいという実情があり、このような状況を踏まえた上でのスポーツ映画として『私たちの生涯最高の瞬間』『クライング・フィスト』といった作品が発表されてきています。

またそんな政治の影響もあってか、スポーツの作品でも韓国最大の課題である朝鮮半島の南北問題、北朝鮮との国交に関する問題を取り扱った『ハナ ~奇跡の46日間~』『プロミス ~氷上の女神たち』『ファイター、北からの挑戦者』といった作品に注目が集まりがちでもあります。

一方で2019年公開の『野球少女』、そして今回紹介する映画『リバウンド』はそんな作品群の中でも、韓国のどちらかというとプレーヤーとしてはマイノリティー的立場にある人たちにスポットを当てたストーリー。

実在の人物、チームをモデルに描かれたという作品で話題にもなった作品であり、韓国という国における変化の片鱗を感じられる作品としても興味深い物語。またバスケットボールのプレーシーンも迫力ある映像が楽しめる作品となっており、スポーツ映画好きの方にも是非お勧めしたい一本であります。

映画『リバウンド』概要

作品情報

とある高校に存在した廃部寸前のスケットボール部で、新任コーチがわずか6人の選手とともに全国大会で奮闘したという2012年の実話を基に映画化したドラマ。

作品を手掛けたのは『記憶の夜』のチャン・ハンジュンが監督。そして『工作 黒金星と呼ばれた男』のクォン・ソンフィ、ドラマ『シグナル』のキム・ウニがダブルネームで脚本を担当しました。

主人公のコーチ役を務めたのは『シークレット・ジョブ』などのアン・ジェホン。迫力のプレーシーンを見せる部員役にはドラマ『愛の不時着』のイ・シニョン、『2AM』のチョン・ジヌンらバスケットボール経験者が名を連ねています。

あらすじ

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長い歴史を持ちながら、部員が集まらず近年は連敗続きで廃部の危機を迎えている釜山中央高校バスケットボール部。

それでも教員たちは、体面を保つためと校長を説得しなんとか部を存続させ、新たに元バスケットボール選手の公益勤務要員カン・ヤンヒョンをコーチとして招きます。

彼の働きかけで全国的にも有力な選手を呼び込んだことがきっかけでメンバーもそろって、再始動したチーム。しかし全国大会初戦の対戦相手は高校バスケットボール最強の龍山高校。さらに予想だにしない波乱で試合中にとんでもないアクシデントが起き、チームは敗退を期してしまいます。

学校側はバスケットボール部の廃部を議論。一時はヤンヒョンも仕事を投げ出してしまうものの、一つのきっかけでモチベーションを取り戻し、選手たちを再招集します。

かくしてたった6人の部員は、全国制覇を目指していくのでした。

作品情報

製作:2023年製作(韓国映画)

原題:리바운드(英題:Rebound)

監督:チャン・ハンジュン

出演:アン・ジェホン、イ・シニョン、チョン・ジヌン、チョン・ゴンジュ、ホン・スンギュ、キム・ミン、アン・ジホほか

配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス

劇場公開日:4月26日(金)より全国ロードショー

公式サイト:https://transformer.co.jp/m/infinitypool/

多視点より高校生バスケットボールプレーヤーの姿をリアルに描く

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本作のベースとなったエピソードが実話という点に対し、主演を務めたアン・ジェホンを中心に若干コメディー要素をも感じられる物語としている点には、見る人によっては違和感をおぼえる場合もあるかもしれません。

しかし敢えてこの演出とした意味として彼ら、ある意味「スポーツマイノリティー」と呼べるような人たちのモチベーション、勢いのような要素を強く見せたいという意図も見え、ひいては未だこの国に残るエリート主義、「スポーツは国策」という風潮に対して異議を投げかけているようでもあります。

バイタリティーにあふれた若者たちのプレーは清々しく、なにか希望を失いがちな社会の一面に苦しむ人たちに元気を与えるような物語であるといえるでしょう。

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また本作の最大の魅力ともいえるのが、日本の人気バスケットコミック『スラムダンク』を彷彿する緊張感と迫力たっぷりのプレーシーン。

実はスポーツを映画で表現するのは大変に難しいところ。先述の『私たちの生涯最高の瞬間』では、アテネオリンピックを目指す韓国女子ナショナルチームの物語が描かれており、出演する俳優陣は半年のトレーニングを経てこの作品に挑んだいわれています。

しかしさすがに当時男勝りともいわれたツワモノぞろいの韓国女子ナショナルチームを再現するのは難しく、同映画のプレーシーンはそれなりに迫力は作り上げられたものの残念感も否めないところではありました。

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一方で高校バスケットボールを取り扱った作品としては2005年の米映画『コーチ・カーター』がありますが、この作品で見られるプレーはほぼNBAのプロレベルではないかと思えるほどの高いレベルを誇るスタイル。

こうした作品群と比較すると、本作は出演陣に経験者が出そろっていることもあり迫力あるプレーシーンが楽しめる一方で、演出として高校生のはつらつとした瑞々しいカラーもしっかりと映し出されています。

いわゆるアジアにおける学生クラブチームの一面というポイントで見れば、非常に興味深いポイントを描いた作品であるといえるでしょう。

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