[おすすめ書籍]メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方(レビュー)

レビュー

スマホだけでも遊べる無料のメタバースclusterですが、私の周りでもはまり始めている人が増えていて嬉しい限りです!(主に私が引きずり込んでいる)
clusterで遊んでいるうちにストリートライブやイベントなどを目にして、「自分も歌ったり喋ったりなど表現者にまわりたい」と思ってる人もたくさんいると思います。
そんな駆け出し表現者さんが最初に読むのに適した書籍「メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方」が2024年3月21日に発売されました。

メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方

「メタバースイベント」というタイトルにはなっていますが、clusterに特化した書籍だと思っていいと思います。(書かれていることは他のメタバースはもちろん、現実のイベントにも流用できるノウハウもたくさんあります)
イベント開催に必要なことや知識をかなり幅広く取り上げていて、ものによってはかなり深掘りされていて「こんなこと教えてもらっていいの?」みたいな貴重に感じる事もたくさん書かれていました。
cluster初心者はもちろん、何度かイベントを開催したことがあるという中〜上級者でも多くの学びや発見がある書籍になっていると思います。

目次やおおまかな内容などはAmazonの商品情報をご覧いただくとして、私がいいと思ったところなどをつらつらと書き綴っていきますね!

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「なんでclusterのイベントがいいのか?」が簡潔に言語化されている

メタバースといえばVRChatが圧倒的王者とも言えるのですが、日本人がイベントを開くのであれば現時点ではclusterがかなり向いていて、これから2〜3年はそれがさらに加速してゆくのではないかと思っています。
この考えの根拠になるものがいろいろとあるのですが、この書籍では「clusterイベントの魅力と強み」として4ページくらいにそれをわかりやすくまとめてくださっています。
読みながら「そうそう!それそれ!」って相槌を打ちまくってた部分なので、自己表現をできる場所を探している方はまずここを読んでみてもらいたいです。
いろんな選択肢に悩んでいる人も「なるほど、じゃぁまずはclusterで試してみようかな」と感じるのではないかと思います。

ネットで探せば見つかる情報…では終わらない!

イベントを開く時に多くの人は「cluster イベント やりかた」などでネット検索すると思います。
clusterは公式のドキュメントも手厚いので、ある程度の情報にはすぐに辿り着けると思います。
それらの内容はこの書籍とぶつかるものもあるのですが、この本のすごいところはいろいろなベテランイベント主催者の方の声を掲載して、イベントに関するアドバイスや実際に起きたトラブル(と対処法)などがまとめられているという点です。
主催者の方はSNSやnoteなどを使ってご自身でこういう情報発信しているケースもあるのですが、書籍という形でまとめられていると「あちこち探す手間が省ける」という良さもあると思いました。
この本だけのお話もたくさんたくさんあるようなので、最近の技術系書籍によくある「ネットで探せば簡単に見つかる情報」の遥か遠くにある良書でした。

音楽ライブを始めたい人に最適!

clusterで音楽ライブをするためには色々な方法がありまして、私もその一部をこのサイトで紹介させていただきました。

この本では私が紹介した以外の方法である、”複数人で同期しながら一緒に演奏する方法”や、エアバンドによるパフォーマンスなども、その道のプロのお話を交えながらしっかりと紹介されていました。
定番オーディオインターフェースを使った具体的な環境構築方法などもあって、音楽ライブを始めたい人にとって心強い一冊になっています。

clusterで音楽イベントを始めようとしている多くの人が「”ファイルの共有”からカラオケ音源を流してそれに合わせて歌うだけでいいんでしょ?」って誤解しちゃうんですけど、残念ながらそれはうまくいかないんです。
さっきの私のリンクとか、この書籍にそれらについて詳しく書かれているので是非とも両方読んでみてください。

音楽だけじゃないいろんな種類のイベント

音楽ライブ以外にも勉強会、エンタメ系、演劇などなどいろんなイベントについて紹介されており、それぞれのイベントに関する成功の秘訣や考慮すべきことなども具体的に書かれていました。
主催者さんの意向やイベントのコンセプトで大切にすべきところや、お客さまとの距離感などが変わるのですが、それらがイベント主催者さんの声としてまとめられているのが大変興味深かったです。

私も音楽ライブ以外のイベントに関してはノウハウがなかったので勉強になる部分がめちゃくちゃ多くて、他の種類のイベントのノウハウを音楽ライブに持ち込めばもっとレベルアップしそうだなと感じました。
イベントを開く事に慣れてルーチンになっている人も読んでみるといろんな発見があるかも?

イベントに必要なスタッフの役割などもわかる

イベントを動画撮影するカメラマンや、悪質ユーザーに対する警備の方法なども実例を混じりながら紹介してくださっていました。
イベントの動画撮影(プロカメラマンモード)に関してはちょうど私が勉強(練習?)している部分だったので、その道のプロの方の技術やノウハウが惜しみなく掲載されていたのはめちゃくちゃありがたかったです。
手動で苦労しながらやっていたようなことも機能の組み合わせや工夫で簡単かつハイレベルにできると知れたのは目から鱗で、これから実践してみたいです!

モザイクばかりで伝わるかどうかわかんないですが、イベント当日のスケジュールの組み方の例なども掲載されていてとても参考になりました。
スタッフが複数いる時ほどこういうのがきちんとまとめられて、いつでもみられる状態になっていることは大切だと思います。

イベントは一人で開くこともできますが、お手伝いしてくれる人がいたら格段にレベルが上がるということも再認識できました。
clusterユーザー同士の横のつながりも大切ですね!

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幅広すぎるけど、この先の長きにわたっての「最初の一歩」が詰め込まれてる

この本は「clusterでのイベント」というワンテーマながらも、「clusterとは?」から「Unityを使ってみよう!」みたいな切り口まであって守備範囲がかなり幅広いです。
Unityを使ったことがある人は「詰め込みすぎでは?初心者にわかるの?」って思うかもで、初心者は「Unity?めちゃくちゃ難しい本?」って思っちゃうかも知れません。
しかしながら、全体的に「初心者でもわかりやすくて中級者以上でも新たな発見や学びがある」みたいな作りになっていると感じました。

Unityをまったく触ったことがない人にとっては何のことやらわからないような内容に見える部分もあるかもしれませんし、「自分はUnityまでは使わない」って思ってる人も多いかも知れません。
ただ、やっぱりイベント開催側になって自分のイベントのレベルを高めていこうとするとUnityを使うことが視野に入ってきます。(もしくは、使える人を見つけてお願いする)
そういう時の「最初の一歩」ふさわしい内容であり、Unityを使わないにしても「どんなことができるか」を知るに必要十分な内容になっています。
「Unityを使ったことがあるけどcluster向けに使ったことはない」という人にとっても「clusterの場合はこうする必要があります」ということが端的にまとめられていると思いました。

いま必要なくても(さっぱりわからなくても)、clusterでイベントを重ねるうちにここを読む時が来て点と点がつながる瞬間が来ると思います。

なお、Unityで作ったものをclusterで使う場合、Unityのバージョンにかなり細かく気を遣わなければならず、その点もこの書籍で触れられています。
Unityを使ったことがある人ほどハマっちゃうところだと思うので、これからcluster向けに何かを作ろうと考えてる人はインストールのところも読み飛ばさない方がいいかもです。
私も、初めてワールドを作ったときにUnityのバージョンの小数点以下がちょっと違っただけで予期せぬトラブルに見舞われてハマっちゃいました!(小数点以下も完全一致したバージョンじゃないとちゃんと動かないので)

サンプルプロジェクトまで用意されてた!

私レベルの初心者にはめっちゃくちゃありがたかったのですが、Unityで使えるclusterのワールドのサンプルまで用意されていました!

こういうののスキルアップって、プロが作ったデータを覗き見るのが手っ取り早い上達方法なんですが、このプロジェクトファイルはそういう意味で最高の教材になると思います。
Unity初心者でも書籍内でもおおまかな使い方(編集や操作など)に触れられているので、書籍の手順に従って進めてゆけば、どんなことができるかが学べると思います。

このプロジェクトは「個人的に使用する場合は改変や流用は自由」というのもありがたいです。
いろいろ試してじゃんじゃん改変していくうちに、めっちゃスキルアップしてclusterのワールドマスターになるかも知れませんね!(願望)

最新情報は付録でフォロー

この書籍は2023年8月くらいのclusterを元に書かれているようなのですが、その時点からのclusterの進化に関しても「ダウンロードする付録」という形でしっかりとフォローしてくださっていました。

筆者のvinsさんもおっしゃっていますが「clusterは非常に進化が速い」ため、少し前の情報が古くなったり、今まで苦労して対応していたことが公式による機能追加でものすごく簡単になったりということもあります。
最近でも簡易ボイチェン機能がついたりと大きな変化がありましたもんね!

私は紙の書籍が好きなので紙のものを買ったのですが、紙の本もデジタルデータで補完してもらえるのがとてもありがたいです。
同じくダウンロード付録の「役立つリンク集」も役立ちすぎてローカルに保存してブックマーク登録しました(ありがとうございます!)

最後のチェックリスト、一生使えそう…

巻末にイベントを開催するときにめちゃくちゃ役立つ「clusterイベント用チェックリスト」が付いていました!

この書籍に関わった人たちの知識や経験、場合によっては失敗(から学んだ回避策)などが詰まったリストで、これに自分なりの項目を追加して使えば準備不足に関するトラブルはかなり減らせそう!
イベントにトラブルはつきものですが、避けられるトラブルは避けたいですもんね!

読み終えたと思ったら出てきた財宝のようなページ、一生大切に使わさせていただきます!

まとめ

こういう進化速度の速いツールに関する技術書って短い時間で陳腐化しやすい傾向にあるのですが、これはどちらかといえば「ノウハウ本」なのでいったん知ってしまえば自分の大きな知識や応用力になって、cluster以外のいろんな場所でも応用できるような内容が詰まっていました。
先述の通り、発行時とclusterの進化の差が出てる部分もありますが、デジタル付録(ダウンロードするもの)でフォローしてくれているのはとても良心的に感じました。

細かな方法や作業手順は変わってゆくかもしれませんが、「clusterでのイベントに関する基本的な考え方」という面ではほぼ普遍的とも言って良さそうな内容がたくさん盛り込まれていました。

「しばらくclusterに身を預けて表現する側に回ってみよう」と考えている方は絶対に読んだ方がいい本だと思います。
私はまだイベント等準備中の段階ですが、スタッフをしてくれる人にはこの本を買って渡してゆこうと思います!

著者のvinsさんを始めこの書籍のインタビューに協力して貴重な情報をくださったclusterイベンターのみなさま、大変素晴らしい書籍を届けてくださいましてありがとうございました!
しばらく家宝にします✨

書籍

メタバースイベント作成入門 clusterイベント開催とワールド・アイテムの作り方

著者:vinsさん

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