【力技注意】イラスト集つくってみた!

活動日記

自分の作品集がほしい!でも作品集って難しそう!

わかりますその気持ち(唐突)

わたくし虚木燐もこの度イラスト集を作りましたが、作る前はハードル高いなぁと尻込みしていました。しかしやってみると色々気をつける点はあるものの意外と作れるものです。

今回は私がイラスト集を作ったときのレポートを注意点も含めて書いていきたいと思います!

この記事はイラスト集ということで書いていきますが写真集や裁縫・フィギュアなどの作品集にも応用できると思いますのでご参考いただければと思います…!

なぜ作ろうと思ったのか

まずはうつぎが作品集を作ろうと思ったきっかけから。

この度とある展覧会に参加させていただいたのですが、そちらがイラスト集等グッズ販売ありとのことで

これはやるしかない!ということで大急ぎで取り掛かった次第です…

それに今後ご依頼を受ける際にもこういうのあったほうが説得力あっていいかなぁとか下心があったり…

先程も書いた通りイラスト集って難しそうだなぁと躊躇していたうつぎですが、幸い周りに作品集や漫画などを作ったことのある方々が居たのでご助言いただいたり、ちょっと気が楽になったりで作成に踏み切りました。

イラスト集の基本的な話

まず、一般的に流通している本(本屋さんに並んでいるような本)は出版社さんを通してプロによる編集や校正、装丁などが行われています(私はこのあたりよくわかっていませんが…)。本屋さんで見るすごいイラストレーターさんの作品集もこのように作られています(多分…)。

しかしこれってすごくハードル高いですよね…本になるまで時間も人手も沢山必要…そもそも出版社さんに断られたら企画自体なくなっちゃう…

そこで我々が行うのが自費出版、いわゆる同人誌です!

同人誌とは、創作を行う個人が趣味で集まってつくる本のことで、出版社さんを通さず本を作ることができます。もちろんプロによる校正やアドバイスなどはありませんが好きにこだわって作れるのはメリットだと思います…!

うつぎも同人誌としてイラスト集を作ることにしました。

ところで同人誌に関わるもので「サークル」というものを聞いたことがないでしょうか。このサークルというのは同人誌を作る際集まった人々のグループ名で、お店の名称のようなものです。個人でも、活動名の他にサークル名を名乗って活動する方も居ます。

うつぎはぼっちなので(!)イマジナリーフレンズとともにサークル「幻想学術出版方陵社」としてイラスト集を作っていきます

イラスト集作りの流れ

さて、イラスト集を作ろう!となったところで重要なのがどういう流れでやるか、というところだと思います。簡潔に言えば以下のとおりです。

①本の内容を決める

②印刷所さんを決める

③原稿を作る

④入稿

基本はこんな感じだと思いますがなにかのイベントに出る方はイベントに合わせて決めることになるでしょう。イベントに出なくても大きいイベントにかぶると希望の納品日にならないこともあるそうなのでよく確認して早めに申し込みましょう…

①本の内容を決める

まずは①、どんな本を作りたいか決めます。今回うつぎはイラスト集を作ったのですが、これは展覧会に合わせて作るもので、一応メインは展覧会に持っていくイラストです。その他にも自分が気に入っているイラストを詰め込んで「虚木燐の自己紹介」的なものを作ることにしました。

うつぎは作品の周りに空白があって下に題名と作成日があるスタイルが好きなのでそんな感じのシンプルなのを目指します(手抜き言うな)。

作品の並びは表紙用の絵全体、展覧会の絵と始まり、一枚絵、立ち絵、バケモン絵、そして最後にあとがきをつけることにしました。

また、サイズ・ページ数はフォロワーさんのおすすめにより、B5・24ページとなりました。

②印刷所さんを決める

つぎに印刷所さんを決めます。中には自宅で印刷、製本するツワモノもいらっしゃるそうですが初心者はおとなしく印刷所さんにお願いします…

同人誌を扱う印刷所さんはかなりたくさんあるようなので、うつぎはブルースカイのフォロワーさんにおすすめ(ついでにサイズやページ数も)を聞いて数社の候補から選びました。

印刷所さんを決めるとき、色々と考慮するところはあると思いますが一番はお値段ですよね…!

値段は印刷部数やページ数、カラーの有無や使う紙などで変動しますが、近い条件でも印刷所さんによってピンキリ…

(おすすめしてもらったなかで一番丁寧に書いてくれていたところが他社の二倍以上のお値段叩き出されていてびっくりしました…)

とりあえず本を作りたかったうつぎは安めで表紙コーティングのあるオレンジ工房さんにしました。

ここで注文するセットを決めて、納品までにかかる時間を確認します。そして届いてほしい日から逆算して入稿日を確認します。この日を目標に死ぬ気で原稿を作ります。(イベントによっては当日会場に運んでくれるそうですが、うつぎのように個人で受け取って他荷物とともに発送する場合は注意が必要です。後述しますがうつぎはミスりました)

③原稿を作る

一番の難所、原稿づくりです!

原稿を作る際オレンジ工房さんの方でテンプレートを配布してくださっているのですが、なぜかうつぎはこういうものがことごとくインストールできないので(なんで…?)他所様がPNGで配布しているものを使わせていただきました。(あんまり堂々と言えないので名前は出しませんがめっちゃ助かりましたありがとうございます…)

ちなみに ここでオレンジ工房さんのテンプレートを使わなかったことが後々仇となります(多分)。みなさんは自分がお世話になる印刷所さんのテンプレートを使いましょう…

この原稿を作る際のテンプレートですが、内側から「見やすい部分の線」「仕上がり線」「塗り足し」があります。「仕上がり線」は名前の通り仕上げの裁断の線で、「塗り足し」はその外側、裁断がズレてもきれいに見えるようにあらかじめ余分に塗っておく部分です(重要)。「見やすい部分」の線は、あまり端っこだと見にくいから大事なセリフや絵はこのあたりにおさめるといいよの線です。

うつぎの手書きB5テンプレート。
ずれてる可能性があるのでおすすめはしませんが保存すれば使えるかも…?

さて、テンプレートを使ってさっそく原稿を作っていきましょう!うつぎは普段絵はパソコンのCLIP STUDIO PAINT を使っているのですが、クリスタよくわかっていないので(!)感覚的に操作できるibisPaintをタブレットで使います。(後々これが功を奏し、入稿日ギリギリでも外出先で操作してなんとか入稿できました!)

原稿を作る際、大事なツールが「グリッド」です。これがあるとどこに配置するかがわかりやすく、さらに他ページと位置を合わせることができるのでバンバン使いましょう!

グリッドはこの方眼紙みたいなやつのこと。
スマホ・タブレットのibis paintでは上のところで設定できる。

掲載したいイラストを選んで拡大縮小して位置を合わせ、題名・作成日をつける…これをひたすら繰り返します。

また、ページ数もつけるのですが、ここで注意が必要です!オレンジ工房さんではページ数の表示が必須だそうですが、入稿時のファイル名と揃えなくてはなりません。そしてファイル名ですが、表紙が1ページとなり、表紙裏表紙の内側が2・3ページ、裏表紙が4ページとなります。つまり表紙を開いたところが2・5ページとなるため注意しましょう…ちなみに表紙2・3ページはページ数の表示はなくても大丈夫でした!(ちなみにうつぎは入稿ギリギリまで間違えていたため、後に説明します見本とページ数がズレています)

ページ数解説の図。
何を言っているかわからないと思いますがやればわかります()

あらかた載せたい絵を載せたらあとがきを書いていきます。ここはイラスト集を作った経緯や今回の表紙の理由、自己紹介などを描きました。また、このときあわせて奥付を書きました。奥付とは、本の乱丁などがあった場合の責任の所在を示すもので、オレンジ工房さんでは必須だそうです。奥付にはタイトル、発行日、著者、発行元、連絡先、印刷所さんを書きました。タイトルはこの本の正式名称、発行日は入稿日や納品日・配布日など(厳密じゃなくていいらしい)、著者は活動名、発行元はサークル名、連絡先はメールアドレス(SNSとかはだめっぽい)、印刷所さんはそのまま作ってくれた印刷所さんです。なのでうつぎの場合、タイトル:虚木燐イラスト集2023-2024、発行日:2024年7月25日、著者:虚木燐、発行:幻想学術出版方陵社、連絡:info@utugi-illustration.com、印刷:オレンジ工房 となります。

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表紙についてもテンプレートを使えば簡単に作れます。こちらもオレンジ工房さんがテンプレートを出してくださっているのですが、うつぎはなぜかダウンロードできないので某所さんのテンプレートをお借りしました(めっちゃ助かりました重ねてありがとうございました)…今回は「無線綴じ」という製法なので表紙で本文のページを包み込む感じになります。したがって背表紙の幅を使う紙やページ数から計算することになりますが心配ご無用!紙の種類とページ数を入力するだけで自動計算してテンプレートを出してくれるのです…!(他社さんのテンプレートを使う場合は紙の種類が違う場合があるので、お願いする印刷所さんで一度計算してから近い値になる紙を選択するとよいかと思います…ページ数も印刷所さんによって本文のみか表紙込みかが異なるので注意しましょう)

かくしてゲットしたテンプレートに合わせて表紙を作っていきます。実はフライングで表紙1に当たる部分のみB5サイズで作っていたのでこれを右側にぺたり。左側(表紙4、裏表紙)もいい感じにしていきます。今回は左綴じ(表紙を上にしたとき綴じ目が左に来る綴じ方)なので表紙1が右になっていますが、右綴じの場合は逆になるのでご注意ください!

表紙の内側に当たる表紙2、3は本文と同じように一つずつのページで作っていきます。

原稿が完成したらテンプレートは消しておきましょう。提出時にテンプレートが残っているとテンプレートごと印刷されてしまうそうです…

④入稿

さて、いよいよ入稿です!しかしここでもまだやることがあります。それが見本づくりです!

見本とはそのまま、完成形を確認するための見本です。こちらは見開きを画像(jpeg)で提出となります。今まで作った各ページのファイルを画像で取り出して順番に並べていきます。そうするとあら不思議!なんかそれっぽく見えてきます…これは提出用に作るものですが意外と気づかなかったミスに気づきます。そう、ページ数の間違いとかね。

見本もできたところで提出…と行きたかったところで重要なことに気づきました。オレンジ工房さんでの原稿の提出にはトンボが必要だそうです。トンボって何…?

トンボとは仕上がり線や塗り足し線、縦横の中心を表す目印のことです。

どうやらオレンジ工房さんのテンプレートを使っている場合はなくてもいいようですが、うつぎは他社さんのテンプレートを使わせていただいたので一応トンボを付けることにしました。しかしもう原稿もできてしまってトンボのテンプレートを使ったりそれに合わせてサイズ変更するのも厳しい…しかし窮地に立たされたうつぎは閃いてしまったのです。じゃあ自分で作ればよくね?

ということでグリッドと定規を駆使して手書きしたトンボがこちらです。

自作B5用トンボ。先の手書きテンプレートでもしれっと登場していました。
二重になっている角が塗り足し線と仕上がり線を表していて裁断すると無くなるのできれいに仕上がるのです…!
上下左右の十字は中央を示しています。

原稿の縦横比率を固定して拡大、それぞれのページにトンボを貼っつけていきます。

原稿も見本もやっと作り終わったのでようやく入稿…のはずが、またミスに気づいてしまいました…ページ間違いです。かなり気をつけたはずなのに表紙めくった見開きが2-4となっていました。少し前にも書いたとおり、裏表紙が4となり本文最初が5となるのですが、このときのうつぎは完全に失念しておりました…本文すべてのページ数を変更することになってしまったので皆さんページ数には本当に気をつけましょう…(見本は力尽きたのでそのまま…)

(提出時の備考に見本のページ数の間違いを記載しておきました。見本を直すのに力尽きちゃった人は一応書いておいたほうがいいかも…)

何度も確認して不備がない!いける!ってなったらいよいよやっと入稿です…各ページの原稿をpsdの統合ファイルにして書き出し、半角で名前をつけます。このあたりは印刷所さんの入稿のやり方で詳しく書いているとは思いますがうつぎの場合、表紙は「hyoushi01-04」「hyoushi02」「hyoushi03」、本文は「05honnbunn」「06honnbunn」…といった感じでつけていきました。

見本も各見開きページをjpegで書き出し、「mihonn_hyoushi01-04」「mihonn_hyoushi02-p05」「mihonn_p06-07」…とつけました。

この名前をつけたファイルたちを印刷用原稿、見本に分けてフォルダに入れます。フォルダの名前は原稿は本の名前を半角「utugirinirasutosyuu2023-2024」、見本は見本だとわかるように「book-mihonn」にしました。

これをさらに半角で依頼者名(本名)のフォルダに入れます。このフォルダを圧縮して提出となります。

後日談・反省会

かくしてイラスト集を入稿したうつぎ。その後はどうなったのでしょうか。

イラスト集が届くまでの間、うつぎはとぉってもドキドキしておりました。イラスト集が楽しみだっただけではありません。

うつぎがドキドキ(というよりバクバク?)していた理由は2つあり、1つ目の理由は再提出です。原稿に不備がある場合(特にページ数の間違い)は再度原稿を提出する必要があるそうです。また、それに伴って本の納入が遅れるらしいのです。とはいえ期限に余裕を持っていれば怖がる必要もありませんね。

しかしうつぎの場合、ここで問題が生じます。もう1つの理由、納入日です。今回、展覧会に持って行くためにそこに合わせて納入日、入稿日を決めたのですが、ここでうつぎはとんでもないあほをやらかしたのです!!!

本を一度自宅で受け取って展示用イラストと一緒に梱包する予定で、展覧会の会場への輸送に2日、その2日前に受け取り、そこから逆算して7日前に入稿、のつもりで予定を組み、入稿していたのですが…なんとうつぎ、この予定に長期旅行が食い込んでいることをすっかり忘れていました!!!おかげで納品予定日の翌日に旅立つことになってしまいました…しかも納品予定日もその翌日も諸用で日中家に居ないという始末…納入日が一日でも伸びると終わりという実はギリギリな予定になってしまっていたのです…そのため入稿の際に必死になって確認しまくっていたわけです。

ということでドキドキバックバクだったのですが、ここでうつぎに転機が訪れます!そう、カンピロバクターです()実は納入予定日の3日ほど前から謎の経験したことのないレベルの体調不良(主にあまりにも酷い腹痛とものすごい頻度で見たこと無い形状の下痢)で瀕死になっていました。納入予定日も治ってきたとはいえ初めての食中毒に苦しみ休養していたのですが、おかげで昼間に配達に来てもらって無事受け取ることができました!再入稿にもならず、カンピロミラクルにより受け取れたのでその日のうちに梱包を済ませ、翌日お昼休みに郵便局へと向かい、なんとかミッションコンプリートしたのでした!(展覧会のキャプションが通信障害により送れていなかったのはまた別の話…)

そうしてうつぎはカンピロバクターにより命を救われたのでした!皆様も生鳥には気をつけましょう!!!(本当にきつかったです…)

では、肝心のイラスト集の出来はどうだったのか。

他社さんのテンプレートを使っていたりトンボが手書きだったりとかなり不安だったのですが、ちゃんと思い通りに裁断されていて表紙も背表紙含めてずれずに製本されていました!

しかし製本はきれいにやってもらったのですが、本の内側に近い部分が見づらい…これは私のミスなのですが無線綴じだとページの内側数ミリをノリで止めるので当然その分見える部分が減ります。そこを考えず絵を配置したためちょっと見にくくなってしまいました…ここを考えるのは大変なのでページ数が少ない本であれば中綴じのほうがいいのかもしれません…

イラストの見え方ですが、少し黄色がかってくすんでしまったように見えます…これは紙やインク、色の出し方(CMYKかRGBか)、プリンターの質などが関わってくると思います。このあたりは考えてもわからないので見本をもらったり何度か試してみて自分にあった印刷所さんや紙を見つけていく感じでしょうか…

まとめ

反省点やいろいろ考える必要のある点もありましたがとりあえず本が出来て満足!!! 反省点も次回本を作るときに活かしていきたいと思います…!

注意することをまとめると、

・納品日、入稿日は余裕を持って早めに決める

・作品や文章の配置に気をつける(特に塗り足しや無線綴じで見えなくなる部分)

・ページ数に気をつける

・体調管理()

この点をちゃんと守ればちゃんと作れるかなぁと思います…!みなさんも本を作る際は気にしてみてください…!

長々とお付き合いありがとうございました!

ちなみに完成したうつぎの本はこちら

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