ここに辿り着いた方は3Dプリンタに興味がある方で、購入を検討している人が多いと思います。
そんなかたに誤解されていることが少なくはないんですけど、3Dプリンタって「3Dデータを送信してボタンを押せば簡単に立体物が出来上がる」と思ってますか?
そう、残念ながらそんな簡単じゃないんです。
そんな簡単じゃないので「沼」と言われる所以なんです。
3Dプリンタは舐めてかかると「難しいし、ただひたすらお金がかかって、時間とお金を割いた結果、挫折する、辛い。」という世界ですが、「難しいものなので勉強と試行錯誤が必要」と覚悟して向き合うならクリエイターの可能性を劇的に広げる楽しい世界なのです。
今回は、私自身が抱いていた3Dプリンタに対する誤解なども含めて、超初心者向けの超入門記事を書いてみました!
方式は大きく分けて2種類
3Dプリンタは常に進化中(発展途上とも言える)の分野でして、いろんな方式のものがあるけどAmazon等で買える家庭用(ホビー用)のものはほぼ2種類です。
FDM方式
プラスチックのような樹脂を溶かして液体のようになったものを少しずつ積み重ねていくことで造形する方式です。
頑丈なものを作れるけど細かな細工には向かない傾向にあります。
頑丈なものを作りやすいというメリットを活かして、コスプレ用の小物とか、ドリンクホルダーのような実用的なものはこちらで作られている可能性が高いです。
光造形方式
3Dプリンタ専用の液体レジンにピンポイントで紫外線を当てて硬化させて造形する方式です。
FDM方式とは逆で、細かく造形できるけど強度が低めな傾向にあります。
「フィギュアを作りました」「プラモデル用のオリジナルパーツを作りました」みたいな繊細さのためなら頑丈さは妥協できるようなものは、こちらの方式で作られている可能性が高いです。
専用のレジンには色々なものがあって、ゴムのように柔らかく仕上がることで壊れにくいようなものもあるので、作りたいものに適したレジン選びがとても重要です。
光造形方式の仕組みは理解できるんだけど、なんでそんなにピンポイントで正確に狙ったところだけが固まるのか不思議!
その他方式(基本的に業務用)
家庭用3Dプリンタは基本的に単色での出力ですが、業務用だと指定した色をつけて出力できるものもあります。
素材も色々で、主にアクセサリー用の金属出力や、骨の代わりに人体に埋め込む医療用3Dプリンタなどいろんなものが存在します。
これらはAmazonで売られている家庭用と比べてお値段の桁が違うどころか、法人にしか販売しないような商品もあるので個人が買うことはまずないものです。
どちらの方式が簡単?
どちらも出力のためのデータ作成や調整が必要なで一発で思い通りに出力するのは難しく、慣れと試行錯誤が必要です。
かつては光造形方式のほうがハードルが高いと言われていましたが、最近は専用の洗浄剤不要で水洗いでOKなレジンも多いのでハードルはやや下がっているように感じます。
3Dプリンタは扱いやすさよりも作りたいもので選択する分野かなと思っていて、頑丈なものや実用的なものを作りたければFDM方式、フィギュアのように細かなものを作りたかったら光造形方式という理解で検討をスタートするといいかも。
よくある誤解や疑問
・3Dデータがあればポンと簡単に印刷できるの?
→ 今まで説明した通りで「簡単にポン」という感じではないです。3Dデータを印刷に適した配置に分割したり、きちんと出力できるようにサポートの設定をしたり、出力に使う樹脂やレジンに合わせた印刷設定しなければならなです。慣れるまではサンプルデータをそのまま印刷するのも難しいかも。
・3Dのアバターとかを印刷して簡単にフィギュアにできる?
→ アバター等の3Dデータは元データの一部にはできるけどそのままフィギュアにはできないと思った方がいいです。印刷用にパーツを分割したりが必要な上に、薄すぎる部分などは自分で厚みなどを調整しなければならないです。また、3Dアバターの表面に画像を貼り付けている部分(例えば瞳)などは3Dプリントには反映されないので印刷後のモデルを自分で塗ったりする必要があります。
・3Dのアバターを印刷するときに、服の模様などはどれくらい出るの?
→ アバターの服の模様やシワなどは画像(テクスチャ)で表現されているものが大半ですが、3Dプリンタはその画像の部分は出力しないので服の模様は出力されないと思った方が良いです。アバターを出力するには新規に3Dモデルを作るのとさほど変わらないくらいの手間がかかると思った方がいいです。
ただ、アバターではなく3Dプリンタ専用のフィギュアのデータなどは服の模様などが彫り込まれていることもあって、その場合は模様も出る可能性があります。
・費用を節約したいので最初は中古品で試したい!
→ 絶対にお勧めしない。3Dプリンタは大事なところに傷が入ってたり、ちょっと軸が曲がってるだけでうまく出力されない可能性が高まるのですが、素人はその判断が難しく何が正しい状態かもわからないから。
特にフリマサイト等で売られているものは素人が手を出したけど挫折して手放したものが多いと想像され、試行錯誤の段階でメチャクチャなことをやってる可能性も高そう。
節約のつもりで中古を買ったら結局新品よりもお金と時間がかかるという分野が一定数ありますが、3Dプリンタもまさにその分野かなと思います。
ただ、自分でメンテナンスできるくらいに十分に知識がある人が手を出すのは無しではないかも。
ぶっちゃけたまとめ
3Dプリンタはまだまだ「誰でも簡単に使える夢のツール」ではなくて、ある程度の経験者でもトライアンドエラーを繰り返しながらお目当てのものを出力するような分野です。
昨今では円安の影響でレジン等の素材の価格も高騰傾向にあり、お金もたっぷり必要な趣味になっています。
3Dプリンタで出力された商品をみて「めっちゃ高く売られるようなぁ、ぼったくってるよなぁ…」と感じていた方は、実際に触ってみるとそもそも材料が高いなどに気づいて、そこに辿り着くまでの作者さんの労力などを考えると「これ、ほぼボランティアでは?」って気づいちゃうかもしれませんね!
トライアンドエラーの先で自分の作品が思い通りに出力された時は他では得られないような感動もあります。
「ガレージキットを作って生計を立てよう!」など考えるとほぼ無理だと思っちゃうのですが、お金と時間を惜しみなく投入して向き合う趣味としては楽しいと感じる人も少なくはないかなと思います!
初心者向けのおすすめ光造形プリンタ
こちらは、私が別サイトで書いた3Dプリンタのレビュー記事です。
2024年現在光造形の定番機種と言える「ELEGOO MARS 4」についてなので、購入を検討している方はぜひご参考に!