映画『秘顔-ひがん-』 セレブ感あふれる美しさ×官能感の裏に描かれた「隠された顔」のおぞましさ

レビュー
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激しい情愛に溺れる男女と、そのすべてを目撃する婚約者の三人。彼らの心の裏にある秘密の顔が巻き起こす衝撃の真実を描いたサスペンス映画『秘顔-ひがん-』が全国公開されました。

本作は本国韓国で19歳未満鑑賞禁止にもかかわらず、観客動員数100万人突破の大ヒットを記録した問題作。

ソン・スンホン、チョ・ヨジョン、パク・ジヒョンら韓国の実力派俳優による迫真の演技から「秘密の顔」が明かされるたびに巻き起こるとんでもないどんでん返しの連続。驚愕の光景には釘付け間違いなしのスリラー物語であります。

映画『秘顔-ひがん-』概要

作品情報

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情欲に溺れる男と女、そんな二人を近くから見つめる男の婚約者という男女三人が、表には出せない秘密の顔をめぐって思いを交錯させるサスペンス・スリラー。

『情愛中毒』のキム・デウ監督が作品を手がけました。

メインキャストには『エデンの東』のソン・スンホン、『パラサイト 半地下の家族』のチョ・ヨジョン、『財閥×刑事』のパク・ジヒョンらが名を連ねています。

あらすじ

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オーケストラのチェリストであるスヨンは、「あなたと過ごせて幸せだった」というビデオメッセージだけを残し、将来有望な指揮者であり彼女の婚約者のソンジンの前より姿を消します。

そのことに動揺し喪失感に苦しんでいたソンジンでしたが、公演のために「代理である」というチェリスト・ミジュと対面します。

最初は不審に思っていたソンジンは、徐々に彼女の魅力に惹かれていきます。そしてある大雨の夜、彼らはスヨンのいない寝室で一つの過ちを犯してしまうのですが……。

作品詳細

製作:2024年製作(韓国映画)

原題:히든페이스(英題:Hidden Face)

監督:キム・デウ

出演:ソン・スンホン、チョ・ヨジョン、パク・ジヒョンほか

配給:シンカ、ショウゲート

劇場公開日:2025年6月20日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト:https://synca.jp/higan/

ノワール感満載!官能的な愛情の裏にある表情で描く「おぞましき深層心理の闇」

韓国ノワール」と呼ばれ排出されてい作品は、財閥、政治家、大企業などの権力を中心に繰り広げられるおぞましい光景を描いた作品が多く含まれていますが、本作は「人間の深層心理にある闇」のようなテーマを扱っており、ある意味「ノワール」的でダークな雰囲気を醸しており、このジャンルに含まれる作品であるといえるでしょう。

簡単にいえば「男女の三角関係に展開する情欲のもつれ」といえるテーマでありますが、殺人などの直接的なビジュアル要素をまったく使用しない中でサスペンス要素を強く含んだもの。人間の暗部にスポットを当てることで、ゾッとするような光景をスクリーンに表現しています。

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恵まれた環境のもと生まれ育ち、すでに地位が約束された女性。その女性と結婚することで約束された人生を得る男性、そしてそんな彼女とは対照的に、苦労の末に生きてきた女性。物語序盤でこの三人の関係は不確かでしたが、物語が展開していく中でそのつながりは浮き上がっていくとともに、どこか美しく官能的にも見えた出会いの光景の裏にある、おぞましい人間の本心が露わになっていきます。

物語の展開はある意味近年のサスペンス系映画に見える「答え合わせ」的な要素がありますが、本作は愛欲にまみれた人間のもつれた感情をうまく絡め、単に答えがわかった、というカタルシスの中で強烈な嫌悪、不安のような感情を呼び起こし、見るものを物語に引き込んでいきます。

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見どころとしては、やはりチョ・ヨジョン、パク・ジヒョンという実力派女優の、体当たりの演技。ある時は官能的に、一方で激情感むき出しのおぞましい表情を見せ、二人の間にある複雑な感情、経緯を見応えたっぷりに表現。二人の間に立つソン・スンホンのたたずまいもバランスよく、三人の微妙な位置関係がドラマの奥底にある鮮烈なメッセージを際立たせています

セレブ感満載の背景に美男、美女の情感のもつれあいとくればまさに「恋愛サスペンス」。またそのクライマックスにはとんでもないどんでん返しが待っており、その強烈な肩透かしからは文字通りのノワール感が醸され、人間の奥底にある生々しくおぞましい闇の世界にヒヤッとした思いをすることでしょう。暑さ増すこの初夏にはピッタリのサスペンス・ドラマであります。

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