かつて香港に実在したとあるスラム街を舞台に、黒社会と街を守るべく立ち上がった人々との激しい戦いを超絶アクションの連発で描いた映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が全国公開されます。
法の力の届かない薄汚れた街に迷い込んできた一人の密入国者。激しい対立を繰り広げていた街と黒社会の間にこの男が介入、当人も知らない秘密が大きな抗争へと発展するというクライムアクションを、超絶アクション映像で迫力十分に描きます。
さらに香港スターも勢ぞろい、香港アクションファンにとってはまさに必見の映画であるといえるでしょう。
映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』概要
作品情報
激しい覇権争いが渦巻く九龍城砦と、その隙をうかがう黒社会をめぐり男たちが繰り広げる死闘を描いた香港アクション映画。九龍城砦のセットには5000万香港ドル(約9億円)がかけられ制作されたという超大作です。
本作を手がけたのは『ドラゴン×マッハ!』のソイ・チェン監督。アクション監督として『るろうに剣心』シリーズの谷垣健治、音楽に『イップ・マン』シリーズの川井憲次らが名を連ねています。
そして『SPL 狼たちの処刑台』などのルイス・クーが主演、さらにサモ・ハン、アーロン・クォック、リッチー・レンら香港の豪華キャストが集結しました。
あらすじ
1980年代、一人の男が香港に密入国してきます。
彼の名はチャン。あぶく銭で香港社会の身分証を購入しようとした彼は、黒社会の者たちに騙され追われる羽目にあってしまいます。
追い詰められた彼は運命に導かれるように無法地帯・九龍城砦に逃げ込みます。最初は拒絶されたチャンでしたが、街を取り仕切るロンをはじめ受け入れる度量を持った住人たちに接している間に打ち解け、出会った3人の仲間たちと深い友情を育んでいきます。
一方で九龍城砦と対立する黒社会との抗争、そして黒社会の内部抗争は激化の一途をたどり、チャンたちは街の平和をかけた戦いに身を投じていくのでした。
作品詳細
製作:2024年製作(香港映画)
原題:九龍城寨之圍城 Twilight of the Warriors: Walled In
監督:ソイ・チェン
出演:ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、トニー・ウー、ジャーマン・チョン、リッチー・レン、ケニー・ウォン、サモ・ハン、アーロン・クォックほか
配給:クロックワークス
劇場公開日:2025年1月17日(金)より全国順次ロードショー
公式サイト:https://klockworx.com/movies/twilightwarriors/
迫力十分の伝統的アクションと社会的背景を巧みに組み合わせた物語
香港といえばかつてはカンフー・アクションで世界を席巻したその聖地的な場所。本作はある意味闇社会の抗争がメインのテーマとなる物語ですが、とにかく男たちが激突!熾烈な戦いを展開していきます。
ガンアクションなんてもってのほか、とにかくほとんどが肉弾戦。歯切れのよいカンフー・アクションがこれでもかといわんばかりにあふれています。若干『カンフー・ハッスル』を彷彿する「ありえねー!」的表現もありながら、迫力十分。
まばたきすらためらってしまう、息もつかせぬ、そんな緊張のバトルシーンは、近年日本だけでなく香港や中国でも活躍中のアクション監督・谷垣健治の手腕ならではのもの。また香港映画ではお家芸ともいえるワイヤー・アクション、さらには香港カンフー・アクションの重鎮サモ・ハンまでも登場と、筋金入りのアクション映画ファンであれば、もう見逃す手はありません。
また非常にユニークなのが「年齢制限などない!」とばかりに、幅広い年齢層のツワモノが集まっていること。やたらめったらと強いオッサン、お爺ちゃんが勢ぞろい!「こんなお年寄りいたらかなり怖ぇ…」と思えるほどの強さを見せるオッサンが若造のチンピラを撃破、「若ぇモンにはまだまだ負けへんで!」と奮闘する姿には興奮間違いなし!
また役者陣も「無冠の帝王」の呼び名も高い名優、ルイス・クーをはじめアーロン・クォック、リッチー・レンら香港の超人気スターが集結、香港アクション映画の美味しい部分をあらゆる視点で集めた「全部のせ」アクション映画といえるでしょう。
一方、物語の舞台となる九龍城砦は1993年まで香港に実在した巨大なスラム街。城内の勢力関係、抗争などのエピソードに関してはフィクション的な部分が強いところではありますが、この香港という場所にあったいわくのある場所を舞台に選んだという点は、非常に思想的要素の強いテーマを感じさせます。
かつて国外の難民が流入、香港政府の力が及ばない無法地帯として恐れられた九龍城砦でありますが、本作でこの場所はある意味「社会に溶け込めない、受け入れられない弱者を受け入れるユートピア」のようなイメージであり、そこに住む人たちは毅然として自分たちの居場所を守る、そんな姿を追った物語となっています。
この光景は、ある意味DIY的政治を感じさせられるものであります。九龍城砦という街の一角を完全に占拠し、自分たちの生活を自らの手で作り、守る。いわゆる「スクワッティング」、不法占拠と呼ばれるものでありますが、物語は単にその意味における違法性だけではなく、幅広い視点でこの区画の居住者たちを描いています。
現在、先進国においてこの九龍城砦のような無法地帯は見られない傾向にありますが、一方でさまざまな場所では政治不信などのさまざまな問題が浮上している傾向もあります。本作はある意味そんな社会に対して不信、不満感を抱く人々へ活力を与え、自らの足で立つよう即す、そんなメッセージも感じられます。
今という時代だからこそ人々に響く物語であるといえるでしょう。