Meta Quest3とMeta Quest3S どっちを買うべき?違いを比較しながらの私の意見(レビュー)

レビュー

この記事は似たようなモデル名が出てくるので以下のように

Quest2 → 発売終了となった旧入門モデル
Quest3 → 今の定番モデル
Quest3S → 今回の主題、Quest2のポジションを埋めるべく出てきたQuest3の廉価版モデル

Quest3Sは高機能なのに5万円を切る比較的安価な入門機

今までVRゴーグルの入門機としては「Meta Quest2」が定番であり、そのひとつ上のステップだとMRも楽しめる「Meta Quest3」となっていました。
しかしながら、執筆時点でQuest2の全モデルと、Quest3の一番安いモデル(128GB)は生産終了となりました。(普通の人は使うことがないけどQuest Proも在庫限りで終売)
一方でQuest3の高い方(512GB)のモデルは価格改定があり発売時定価9万6800円から8万1400円と1.5万円くらいお安くなりました。(公式は”特別セール”という表現を使っているので、期間限定の可能性もあるかも?)

それらにより「いろんなことにVRゴーグルを使いたい人」の選択肢は4万8400円Quest3S(128GB)を買うか、8万1400円Quest3(512GB)のどちらを買うかのほぼ二択になっていると思います。
中古でQuest2をという考えもあるかもですが、中古のQuest2は高騰傾向にあり完動品だと3.5万円くらいになっています。
あと1万5000円余分に出せば新品のQuest3Sが買えるという現状では中古のQuest2は個人的にはおすすめできないので選択から外しますね。

なお、VRChatにしか使わないという方でしたら他社製品で良い選択もあるのですが、いろんなことに使いたいという方にはMeta Questシリーズがおすすめというのは間違いないです。
リリースされているソフトや対応アプリや対応アクセサリーの数が桁違いなので、できることの幅が全然違うと感じます。
そして私たちがよく遊んでいるclusterを、PCなしのVRゴーグル単体で遊べるのは現状Meta Questシリーズのみという点もお忘れなく。(PICOとかでclusterをしてる人はPCにVRゴーグルを接続して使ってる)

Quest3とQuest3Sのざっくりとした違い

Quest3SQuest3の廉価版で入門機という位置付けです。
めっちゃ大雑把な言い方をすると

Quest3Sは基本性能がQuest3で、画質とレンズはQuest2と同等なもの
(パススルーはカラーになった)

です。

Quest3を関する製品名ながら見た目がけっこう変わっていますが基本性能はQuest3と同じで、コントローラーも同じです。
Quest2ではモノクロで低解像度だったパススルー(ゴーグルをつけたまま現実の世界=外の世界を見る機能)がQuest3と同等のカラーパススルーになっているので、MRゴーグルとして使うこともできます。(MRとは現実とVRを融合したもので、現実の空間にCGを表示して遊ぶようなものが多い)

以下、フルカラーパススルーについて以前書いた記事からのスクショ引用です。

Quest2はパススルーがスクショできないので写真掲載できていないのですが、昭和の時代のモノクロテレビみたいな画質です。(アプリなどはもちろんカラーですよ)

廉価版であるQuest3Sの大きなデメリットはレンズの種類がQuest2と同じという点です。
こちらもQuest3紹介時の記事からレンズの写真を引用します。

Quest3SのレンズはQuest2と同じぐるぐるレンズ(フレネルレンズというらしい)なので、Quest3と比べると見え方の質や没入感が大きく下がります。

ぐるぐるレンズしか体験していない人はぐるぐるレンズでも十分に満足できると思うのですが、一度平らなレンズ(パンケーキレンズ)を体験するとぐるぐるレンズには戻れなくなります。

なお、Quest3Sの解像度はQuest2と同じく1832 x 1920であり、Quest3は2064 x 2208となっています。
そして視野はQuest3Sは96度(水平)/90度(垂直)に対して、Quest3は110度(水平)/96度(垂直)とちょっとだけ広くなっています。
Quest3の方が画質や視野が良さそうに見えますが、ぶっちゃけの体感としてはVRゲームやメタバースを体験している時点では解像度や視野にあまり大差を感じず、それよりもレンズのぐるぐるの有無が大きく気になる感じです。
たぶん、体感的画質の足を大きく引っ張ってるのは解像度ではなくてぐるぐるレンズだと思います。
繰り返しになるのですが、一度平らなレンズを体験するとぐるぐるレンズのぐるぐるがかなり煩わしいのです…

レンズ位置のセッティングに関する違いもあり、Quest3はゴーグルの外側についたダイヤルを回してゴーグルをつけたまま左右のレンズ位置を細かく調整できるのですが、Quest3SQuest2と同じくゴーグルを外して内側からレンズを3段階の位置のいずれかに合わせるという方式に戻ります。
まれに3段階の中に見えやすい位置がない人もおられるので、その懸念がある人はQuest3の方がいいかもですね。
このお話は後ろの方でまとめます。

あとVRゴーグルの装着感も大きく変わりそうです。
Quest3はパンケーキレンズとなったことで本体を少し薄くすることができ、装着時のバランスがよく(というか少しマシになって)過度な重さを感じにくくなっていました。
Quest3Sは再び本体が1センチちょっと厚くなったので、重心バランスが少し前になってQuest2の装着感に逆戻りするのかなと想像します。
Quest3は本体が顔に近くなることにより発熱をかなり感じやすく、顔面サウナになるのが気になっていました。
初めて使ったときは異常な発熱かと思いメーカーさんに返品交換してもらったのですが、二台目でも同じく顔面サウナだったのでこういうものなんだと思います。
Quest3Sで顔から本体が1センチ離れることで少しでも発熱を感じにくくなるのであれば、それは大きなメリットかもしれません。
顔面サウナ問題は私的には超深刻で、運動系のアプリをやっているときはバッテリーが切れるのが先か顔汗に溺れるのが先かという状況なので…

その他の細かな違いとしてQuest3Sにはイヤフォンジャックがないそうです。
Questシリーズはスピーカーが耳の近くについていて音質もそれほど悪いという感じではないので、イヤフォンをわざわざ使ったことがないので、使う人が少ないという理由もあってのオミットかも?
私もQuest3でイヤフォンマイクが使えると思って接続したらマイクは使えなくて、なーんだとなったっきり使ったことがありませんでした。

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Quest3からみて羨ましいポイント

Quest3が価格に比例した性能で圧倒的に優っていますが、ちょっとだけQuest3Sのほうが羨ましいポイントもありました。

アクションボタン

ゴーグルをつけたまま外の世界を見たくなった時などにパススルーを有効にして、ゴーグルの外についたカメラを使って外の世界を写して確認することができます。
Quest3だとパススルーの起動にVRゴーグルの側面をトントンと2回叩くという操作を求められていたのですが、これがなかなか難しくて力加減が悪いのか叩く位置が悪いのかなかなか発動しないことが多いんですね。
発動にほんの少し時差があるので、発動に気づかずに操作をミスったかと思ってもう一度トントン叩くとそのままオンオフを繰り返しちゃうことも多々あります。(私が下手なだけ??)
それを改善するためか、Quest3Sにはアクションボタンという専用の切り替えボタンがついたそうです。
実際に使ってないのでなんともですが、このボタンを押すだけでスムーズにパススルーに切り替わってくれるのであればめちゃくちゃ羨ましい…

バッテリーがちょっとだけ長持ち

Quest3Sはバッテリー駆動時間が30分くらい伸びるそうです!
バッテリーが30分伸びると言われても、スマホの世界だとふーんですよね?
ただ、Quest3はもともと2時間くらいしかバッテリーが持たないので、これが2.5時間になってくれると快適さがだいぶ変わりそうです。
Quest3で映画を観てるとクライマックスでバッテリーが尽き果てそうになるのですが、これが30分伸びると多くの映画は心配なく鑑賞できそうです。

どちらも羨ましさはある機能ですが、レンズと画質を犠牲にしながら買い換えるほどのメリットではないかなと思います。

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ストレージ容量は気にしなくていいの?

Quest3Sのストレージ容量は128GB or 256GBでQuest3は512GB(128GBは終売)となっています。
ストレージ容量が128GBなのを不安に感じるかもしれませんが、けっこうガッツリVRゴーグルを活用している私でも128GBで十分だと感じています。
VRゲームに飽きたら消す、またやりたくなったら再ダウンロードみたいな感じで使って、動画などを大量の保存したりしなければ128GBでも十分かなと思います。
Quest3Sには256GBモデルもありますが、私は128GBで十分かなと思いました。

私の見解

Quest3Sはおすすめですか?」とご質問いただくのですが、回答としては「人によって違う」になっちゃうので、”人によって”のパターンをまとめておきます。
VRゴーグルはPCに接続して使うことが多いのですが、初心者向けのお話なのでPCに接続せずに単体で使う場合のお話となっています。

VRゴーグルが高いと感じる人の入門としてはおすすめ

こういう機器に対する金銭感覚って使ったことがある人と今まで使ったことがない人で大きく変わるものだと思います。
私たちから見たら「5万円切ってる!安い!」って感じでも、使ったことがない人だと「高い!そんなお金があれば他のことに使いたい!」になるかもしれません。

そんなこんなで、VRゴーグルに興味がある方でも「使うかわからないものだし、少しでも安くしたい」という気持ちが大きいのも当然だと思います。
今までの入門機であった名機とも言えるQuest2から見ればQuest3Sはかなり良いVRゴーグルだと思うので、少しでも安く体験したい方向けの入門機としては良い選択になると思います。
ただ、VRの面白さに気付いたりclusterなどのメタバースに自分の居場所を見つけて没頭したい方はたぶん「画質が良くなるのならやっぱりQuest3が欲しい!」って買い直しになっちゃうのではないかと思います。
これはQuest2でも同じなのですが、Quest3Sは自分にVR適性があるか試すための入門機くらいに割り切った方がいいかもです。

冒頭でお伝えしましたが、Quest2の中古という選択はあまりお勧めできず、完動品は高値傾向にあり安いものはなんらかの問題を抱えているものだと思います。
また、VRゴーグルって顔面に装着する割にクリーニングが難しい機器なので、前のオーナーが汗や汚れの対策をしっかりとしていない方だったとしたらまぁ悲惨なことになっているでしょうね…
ちょっと前なら中古も選択肢でしたが、今は中古はお勧めしにくいのが実際のところです。

Quest2の価格を見てみる ←たぶん「こんな値段なら新品のQuest3Sを買うわ」ってなると思う。

Quest3Sの瞳孔間距離設定に対応していない人はQuest3がいい

VRゴーグルの映像を綺麗に見るためには、瞳孔の正面にレンズを持ってくる必要があるのですが、人間はそれぞれ顔の大きさやバランスが違うので、ある程度瞳孔の位置も変わります。
Quest3ではレンズの位置を1ミリ単位で調整できたのですが、Quest3SQuest2と同じく3段階からの選択になります。
Quest2では人類の95%をフォローできると言われている58mm、63mm、68mmの三段階でした。
おそらく、Quest3Sでもこの位置からの選択になると思われるのですが、たとえば61mmの方などは綺麗に映像を見るのが難しくなります。
この3つにあてはまらない方はQuest3を買った方がいいですね。

瞳孔間距離なんてわからないよという人が多いと思いますが、スマホで大まかに瞳孔間距離を測るアプリがあります。

Quest2Quest3のどっちを購入しようか迷っている人は、こういうアプリで瞳孔間距離を測ってみてQuest2の3つの設定値外になるようだったらQuest3を選んだ方がいいかもしれません。

予算に余裕があればQuest3にした方が長く使えそう

現実の世界(外の世界)を写しながら遊ぶMRアプリや、PCを接続してゴーグル内のバーチャル大画面で作業するなどの用途を考えるとQuest3Sのぐるぐるレンズは不向きに思えます。
私もQuest2でぐるぐるレンズを使っていたときは別段不自由を感じないながらも、VRゴーグルの画質ってこんなものかと深く考えずにいました。
しかし、Quest3を使って綺麗なレンズを体験してしまうとぐるぐるレンズには戻れなくなりました。
ぐるぐるレンズだとPCを接続しての作業は厳しい感じだったのですが、パンケーキレンズだと少しシャープに見えて実用に耐える使い方になりました。
VRゲームで遊ぶだけの方は、知らなければぐるぐるレンズで十分なのですが、MRアプリで遊びたいとか、PCを繋いでバーチャル大画面として作業したいとか、映画を高画質でみたいなど他の使い方も期待している人はQuest3の方がいいですね!

ぐるぐるレンズのぐるぐるは画面が黒い時の方がよく目立って気になるのですが、映画とかだと真っ黒な部分(スクリーンの外など)も多いので、そういう鑑賞にもQuest3Sはあまり向かないかも。

Quest2からの買い替えは必要な機能を見極めるべき

Quest3SQuest3と同じまでに基本性能が上がったからといってもVRアプリがめっちゃくちゃ快適に動く実感は薄くて、体感的には誤差レベルです。
Quest3でもclusterでちょっと重いワールドに入るとカクカクするし、処理が重そうな演出などはQuest2と大差ないほどカクカクします。
メモリ不足かなんなのか、重そうな処理が続くとアプリが落ちちゃうこともあります。
もし、Quest2でこういう部分に不満を持っている方は、Quest3Sにしたからといって全てが改善されることはなさそうで、カクカクは多少改善されるけど、劇的に快適になるほどではないというのが大まかな印象でした。
MRアプリをやってみたいという用途については、Quest3Sの画質だとどうなのかなという不安もあります。

この先Quest2非対応のアプリなどはどんどん出てくるでしょうから、そういうのも踏まえて自分が必要と感じた時の買い替えでいいかも。
そのタイミングはもしかしたらQuest4の時かもしれませんね。

もちろん、すでにQuest3を使っている人が買い替えるメリットはない

前述の通り、Quest3から見た場合の買い替えメリットはほぼ皆無です。
お金が余っている人がどうしてもアクションボタンが使ってみたいとなった時に買い替えるくらいですかね?

VRChatにしか使わないなら別の選択肢もある

VRゴーグルの購入を検討している方の中には、VRChatでしか使わないという方もけっこうおられます。
その方にとっては別の選択肢としてPICO 4 Ultraなどがあります。
PICO 4 UltraはVRChatでフルトラをする場合にはものすごくコスパがいいものと言われていますが、Quest3ほどの汎用性はないと感じます。
執筆時点ではPICO 4 Ultra単体でclusterを遊ぶこともできません。
いろんなことに使っていろんなアプリを楽しみたいという方の選択肢からは外れますが、VRChatでしか使わないという方にとってはかなり有力な選択肢になっていますので、こちらを検討するのもいいかもしれません。

まとめ

書いてて思ったのですが、結局以前書いた「買おうかどうか迷っている人のためのMeta Quest 3レビュー Quest2との比較編」と同じ感じで、その時にQuest2でいいとなった人が選ぶのがQuest3Sという感じですね!
Quest2に比べるとかなりの部分が大幅に進化しているので入門モデルとしては最強レベルかと思います。
ただ、Quest2からわざわざの買い替えで考えるとレンズが同じなのでパススルーがフルカラーになっている以外は劇的な恩恵を感じにくいかもしれません。(画質も大差なく感じると思う)

結論としては前回同様で、ちょっとでも安く入門したい人はQuest3S、もうちょっとご予算を頑張れる人はQuest3という感じになりますね!
Quest3Sを選んでからVRに目覚めた人は、結局Quest3に買い換えるという可能性も高そうだなと感じました。

今まで通り7万円台でQuest3の128GBがあればそれをお勧めしますで解決だったのですが、Quest3を上位モデルに見せる都合みたいな感じで128GBが終売となったのはちょっと意地悪な気もしますね笑

Quest3が気になる方はこちら↓もご参考にどうぞ!
こちらでは購入と同時に絶対に買った方がいいアクセサリーも紹介していますのでご参考に。

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