映画『シークレット・メロディ』 EXOのD.O.×ウォン・ジナが織りなす異色のラブストーリー

レビュー
(C)2025 SOLAIRE PARTNERS LLC & HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

2007年に発表され大ヒットを記録した青春映画をベースに、一つのピアノのしらべで出会う二人の男女をめぐり展開する物語『シークレット・メロディ』が全国公開されました。

人気K-POPグループ「EXO」のメンバーで俳優としても活躍するD.O.(ディオ)ことド・ギョンス、映画、ドラマ、演劇と幅広い活躍で注目を浴びるウォン・ジナという実力派の二人をメインに、モデルとしても活躍するシン・イェウン、人気ベテラン俳優ペ・ソンウら個性あふれるメンツが脇を固めたこの物語。純愛ストーリーにどこかミステリアスな雰囲気をもまぶした、異色のラブストーリーです。

映画『シークレット・メロディ』概要

作品情報

(C)2025 SOLAIRE PARTNERS LLC & HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

2007年にアジア圏で大ヒットを記録した中国発の青春映画『言えない秘密』を原案に、新たな解釈で描き出したラブストーリー。

「君だけが知らない」のソ・ユミン監督が作品を手がけました。

メインキャストを、人気K-POPグループ「EXO」のメンバーとして活躍するド・ギョンスと、『ハッピーニューイヤー』などのウォン・ジナが務めます。

共演には『ザ・グローリー 輝かしき復讐』のシン・イェウン、『藁にもすがる獣たち』のペ・ソンウ、『チャンシルさんには福が多いね』のカン・マルグムらが名を連ねています。

あらすじ

幼い頃から天才ピアニストとして活躍してきた韓国人青年ユジュン。

彼はドイツで将来を期待されていましたが、今後の動向を占う重要なコンクールで原因不明の発作を起こし失墜、静養のため韓国に帰国します。

そして韓国の音楽大学に編入した彼はある日、練習室から聞こえてきた美しいピアノの旋律に導かれ、一人の女性と出会います。

そのピアノを弾いていた女性の名はジョンア。運命的な出会いに二人はすぐに惹かれ合いますが、ある出来事ですれ違いが生じてしまいます。

それでもお互いの思いを捨てきれない二人。そんな中でユジュンは、1本の電話でジョンアがいる場所へと走り出し、ジョンアもまたユジュンのもとへと向かいますが……。

作品詳細

製作:2023年製作(韓国映画)

原題:말할 수 없는 비밀(英題:Secret: Untold Melody)

監督・共同脚本:ソ・ユミン

出演:ド・ギョンス、ウォン・ジナ、シン・イェウン、ペ・ソンウ、カン・マルグム、カン・ギョンホン、イム・ソンジェ、アン・スンギュンほか

配給:クロックワークス

劇場公開日:2025年10月3日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト:https://klockworx-asia.com/secretmelody/

敢えて「新たなストーリー」として作り上げた意味を感じさせる物語

(C)2025 SOLAIRE PARTNERS LLC & HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

夢破れ母国・韓国に戻った青年が、一つのピアノのしらべをきっかけに一人の女性と出会い、惹かれ合っていくラブストーリー。

オリジナルの物語は2007年に発表され、さらに2024年には日本でもリメイクと、物語自体が多くの人を魅了していることが、改めて感じられる物語です。

一方で本作は、オリジナルが純然たるファンタジーであることに対し、「敢えて韓国でリメイクを行った」という意味付けを行っている印象が強く感じられます。

あまりにも美しく、そして平坦に進んでいく序盤の展開には繊細なラブストーリー的イメージをおぼえることでしょう。

(C)2025 SOLAIRE PARTNERS LLC & HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

ところがこの物語はその一方で、どこか端々に妙な雰囲気がふんわりとした香りをにおわせてきます。

パッと見た感じでは、まるで映画製作の中で作りこんでしまったミス、イメージ不足が作品にあるのではないか?という違和感を醸していきます。

実はこの違和感こそが本作のミソ。前半のキュンキュンするようなラブストーリーが、後半では徐々に真実が明かされていき、とんでもなくひっくり返されるような衝撃を受けていくことでしょう。

極端な比較例ですが、2017年のホラーコメディー『カメラを止めるな!』における前半から後半にかけてのどんでん返しに近い感覚が見えてきます。

(C)2025 SOLAIRE PARTNERS LLC & HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

どこか違和感をおぼえる「ゾンビ物語」が、後半の展開で「アハ体験」に変化する、ユニークな展開。

そんな『カメラを止めるな!』に見られるようなトレンド感も見えてくる巧みな構成が本作には埋め込まれ、さらに韓国サスペンスのカラーすら感じられる激情的なクライマックスが用意されています。

物語はどこへ進んでいくのか?そのある意味カオティックな演出は、見る人をスクリーンにくぎ付けにしてしまうことでしょう。

エンディングは、どこか淡くあいまいな結論で描かれ、見る人によっては釈然としないと感じられる人もいるかもしれません。しかしその不確かな印象は見る側のイマジネーションを掻き立て、どこか見る人自身の感情、イマジネーションと重なるような印象もおぼえさせていくことでしょう。

レビュー映画・アニメ
広告
こねこ惑星 クリエイターズブログ