オリジナル曲『へび』創作裏話

活動日記

こんにちは! こいけです。
私事ですが、昨年12月に3曲目となるオリジナル曲『へび』を公開しました~!

ジャズテイストの曲を目指した1曲です。
youtubeにて自作のMV付きで公開していますので、よかったらご覧ください✨

今回は、こちらの曲を制作した際の裏話アレコレをお話ししていきたいと思います。

曲作りのきっかけ

9月の「こねこ惑星フェス」も終わり、ふとカレンダーを見ました。

ほーん、もう9月も終わりか。
こんなに暑いのに秋なんてくるのかしら。
だってねえ、あと少しで10月……

10月……11月、12月……

あれ、2025年ってあと3か月しかない……??

私の2025年の目標は「オリジナル曲をたくさん作ってたくさんアップする」でした。
ところが、どうでしょう。ふたを開けてみれば何と1曲しかできていない!

※参考※「星影の語り人」(2025/6/22公開)


そもそも、この活動を始めたのは曲が作りたかったからだったはずです。
原点回帰! 今年のうちに、自分のために1曲作るぞー!

決意を胸に、私は久しぶりにDAWソフトを起動しました。

どんな曲にしようか?

私のスマホのメモ帳には、「こんな曲が作りたいなあ」というぼんやりイメージのストックがあります。
ほとんどが走り書きで、「電波っぽいアップテンポ」やら「お米を礼賛する曲」やら、思いついたことが思いついたままに羅列されています(「お米を礼賛する曲」って何だったんだ……?)

その中に、「人間の負の感情を前面に押し出した薄暗いの!」というメモがありました。
これを書いたきっかけはしっかり覚えています。youtubeです。
私が聴いているアーティストの曲がオススメに出てきまして、それがまあとても暗い曲で心に沁みました!
また、ちょうどそのころ友人に教えてもらったアーティストの曲もこれまたドン暗いブラックホールのような曲で心に沁みました!

こう連続して来られると何だか気になってくるものです。
人はなぜ悲しい歌を作るのでしょうか……

私は、そのときの人間の生々しい感情がパッケージングしてあるのがポイントなのかな、と思っています。
例えば励ましの曲は自分に勇気をくれる。それと同じくらいの強さで、失恋の曲はぽっかり空いた穴に優しくふたをしてくれる。
楽しい歌も悲しい歌も、矢印の向きが違うだけでどちらも感情にピタリと寄り添ってくれます。

以前、友人の相談に乗ったとき「なんて難しいんだ……!」と自分の無力さを痛感したことがあります。
友人が欲しかった言葉は明らかなのですが、それはちょっと人として褒められた行動ではなかったのです。友達という立場であるなら、絶対止めたほうがいい。
でも、きっと彼女はそんなことをわざわざ私から言われずとも自分で分かってるのです。ただ感情を否定せずに優しく寄り添ってほしいだけ。けれど、もし万が一、私の言葉が彼女を後押ししてしまったら?

結局、どう言ったら彼女の心が軽くなるのか分からず、変に濁してしまいました。
悲しい気持ちに触れるのは難しい。

ところが、あくる日一緒にカラオケに行ったときです。
私が当時好きだった歌を何気なく歌ったところ、彼女は横で号泣していました。
いわく、「今の自分の状況とシンクロしてて、言葉にしてもらってすごく救われた」んだそう。

私は、このときほど歌の力を強く感じたことはありません。
カタルシスの現場を見た強烈な体験でした。

だからなのか、「人のどうにもならない感情から目を背けずに表現したもの」に私はだいぶ惹かれます。
そこで、今回は人の負の感情にスポットを当てて書いてみよう!と思い立ちました。

何がよいかといろいろ案を出してみて、ピンと来たのが「嫉妬」です。
どこで教えてもらった話だったか定かでないのですが、「嫉妬」というのはかなり原初に近い感情だそうです。
小さい子でも、弟や妹にお母さんが取られたと思うと幼児返りをする。
ワンちゃんやネコちゃんも、飼い主の関心がよそに向くと可愛く鳴いたりいたずらをしたりする。
誰でも抱えやすく、どうにもしぶとい。そんな感情、皆様にも覚えがないでしょうか?

私はというと、ひじょーーーーに覚えがあります!
以前、歌の活動でコンテストやオーディションに出ていたことがありました。
そこそこの段階まではどうにか進めるのですが、審査員の前に候補者が次々と出て歌うという段階に入ると先に進めなくなるのです。

こういう場所で、決まって出会う圧倒的な「才能」というのがありました。
これね、未だにあまりうまく言葉にできないのですが……なんかもう、一聴きしただけで心を鷲掴みされてしまうような圧倒的な歌唱を持っていらっしゃるのです。歌の上手下手といった次元じゃなくて、「人に聞かせるために生まれた歌唱」を持っているといったらいいのでしょうか……?
そういう方がオーディションを勝ち上がったり、後々プロになって活躍していたりするのを見ていました。

な、な、なにが違うんだ……!?
と練習したり、分析したり、勉強したり。
例えば努力をして1年前の自分よりさらに歌がうまくなることができました。これは努力のパワーで、私は今も努力は素晴らしいことだと考えています✨
ところが、「才能」を持った方たちとはやっぱり何かが決定的に違う。というか、才能がある人だって私以上に努力をしているのだから壁は厚くなる一方です。
世界中の人が「聴きたい!」と思う歌唱を作り出せるかの勝負は、歌の上手下手とは違う一線先の何かです。そして、それは努力では多分到達できなかった。

なんだか悲観的な言い様に見えそうですが、いえいえ、そんなことはないのです!
実は今はわりとしっくり来ていて、自分の立ち位置を見つめるいい機会にもなりました。
というのも、私の歌には世界を一瞬で魅了するような力はありませんが、その場を共有する人に楽しんでいただけた経験は幾度かあったのです。
それは地元のカラオケ会なり、ショッピングモールやライブ会場でのイベントなり、会社や親族の集まりなり。
大きく出させてもらうならば、「聴きたいから歌ってよ、こいけちゃん」とマイクをくださる彼らに楽しんでもらえることが私が持っている「才能」であり、私が歌を続けている意味でもあります。

私のような感覚は、恐らく最初から勝負に勝ち続けている人達は持っていません。
それどころか、彼らには負け犬の遠吠えのようにさえ映るでしょう。だって、その物差しで努力して、成果を出した方たちです。
だから、こうやって文章にするのがよいのかちょっぴり悩んだのですが、やっぱり曲を聴いてくださった方には(&これを読んでくださっている方には)きちんと1/1スケールの姿で向き合うのが誠意だなと思いました。

……で、この辺りの感情は、今回のMV作りに大いに生かされました。
過去の経験はなんだって肥しになるのがクリエイター活動のよいところ!

歌詞を書き始めたときにはまだそこまで物語を作っていませんでしたが、MVを作る段階で
「そうだ! あの頃の経験に、角度を変えて光を当てたらいい感じの物語が生まれるのでは?」
と挑戦した結果、納得のいく仕上がりになりました。

ということで、まずは歌詞のご紹介をします!

「蛇」というモチーフ

先日、clusterでのライブで歌わせて頂いた際にお披露目した歌詞カードです!
(お越しくださった皆さま、本当にありがとうございました~!)

まず、蛇をモチーフに決めたのはまさに「嫉妬」や「劣等感」の象徴だからです。
七つの大罪で「嫉妬」を表すほか、神話や昔話でもそういった象徴として用いられており、漫画やアニメでもよく出会うので、「蛇」を出してくることでどことなく不穏な空気を醸し出せそうだな……と思いました。
ついでに、2025年は巳年であったので「今年中に完成させる!!」という個人的なモチベを上げる意味でもベストでした。

テーマを決めたところで、さっそく蛇についての自由研究開始。
調べてみると、歌詞に生かせそうな面白い生態があれこれ出てきて、途中からは蛇という生き物がだいぶ好きになっていました。蛇かわいい。

例えば、1番Aメロ。
蛇にはまぶたがなく、目を閉じることができません。
透明な鱗で目が覆われているので乾燥はしないそうです。が、寝るときも目をかっぴらいたままというのは面白い。
これは「見たくないものも無理やり目に入ってくる」という意味で使えそうだな~と思い、「見なけりゃいいのに また目を焼いて」につながっています。

また、蛇には手足がなく体を曲げてくねくね進みます。
体を波立たせて前進するのですが、ガラスの表面のようなつるつるの道では足掛かりがないので前に進めないそうです。
これが「しんどいのに障害がある道をわざわざ選ぶ」という人間っぽさと繋がるな~とひらめいて「つるっつるの道じゃ進めないから じゃり道で息を乱すの」になりました。

こうやって歌詞を書いているうちにどんどん蛇を知っていって、私のYoutubeには蛇の脱皮動画がおすすめされる状況でした。

あと、蛇なら「脱皮」という要素はどこかで使いたいな~という思いがあり、いろいろ当てはめて練りました。
「心機一転、自己改革、心の脱皮」みたいな意味を出したかったのです。

蛇にとって脱皮は命がけです。
人間にとっても、今いる環境や感情のこだわりを捨てて生まれ変わるためには大きな痛みが伴います。
うーん……ということは、一度自分の「死」を経験する、ということではなかろうか?
そこで、お話の展開する1番Bメロに「死」のイベントを盛り込むことにしました。

なくなるは「亡くなる」でもあり、ここから2行は「葬式」の隠喩です。
安置して燃やすのは遺体の棺であり、それを脱皮の合図とします。火は再生の象徴なので、違和感はないはず……ないよね……?
あんち=「アンチ」とも読めるので、「アンチ燃やし」=「自分の意を阻害するものや誹謗中傷に別れを告げる」といった雰囲気も忍ばせました。

こんな感じで自分の中で一つの歌詞に2~3個意味を付けられたときに、ものすごく爽快感があって楽しいです✨
パズルがかみ合ったような感覚! たーのしー!

複数の意味を置くと主題がぼんやりしてしまうのですが、これらはあくまで私の中の組立図であって、読み手に読解を強いるものではありません。
いろいろ書いてきましたが、私の歌は聴く人が自由に解釈してほしいと願っています!

だって聴く人の人生ってさまざまなんだもの。どこがどう経験と結びついたり感情を呼び覚ましたりするのかは、きっと人の数だけあるはず。
私は畑職人として土を耕すだけ耕す係でして、聴き手が何を掘りだしてくださるのかが楽しみで仕方ないのです✨正解はありません。よかったら、どんな風に聞こえたのかぜひ私に教えてください!

折れたのは骨じゃない、腰だ

MVは歌が完成した後に作りました。
歌の時点では解釈に幅を持たせることができたのですが、映像となるとそうもいきません。
視覚情報って手ごわい! ある程度の「正解っぽいもの」を読み手に強いてしまう。

ここはまだまだ勉強不足で、例えば舞台や映画にかかわる方なら小物の配置一つ、表情や色の加減でもっと自由に想像の余地を残せるのだろうな~と思います。
私がやろうとすると、何だかどうも直球になってしまうというか……投げ玉バレバレ感が……

まあそこは今後の課題として、今回は「2人の物語」にすることにしました。
歌を作った時点では登場人物は1人だったのですが、映像ならダブルキャストの方が見ごたえがありそうだな~と思いました。

過去の経験を参考に、1人は焦がれる世界に手が届かない人物。こちらは、私自身が演じることにしました。
もう1人は、焦がれる世界の側から登場させました。彼女は彼女でうまくいっておらず、自分のやりたかった活動ができない窮屈さを持っている人物です。アイドルがイメージしやすそうだったので、アイドル寄りのビジュアルにすることにしました。

また、彼女にはこいけと正反対の印象を持たせる狙いがあります。
髪がロングだったり、全身がこいけの補色になっていたり、童顔になっていたりと、ひたすらに真反対のビジュアルを目指しました。

そうしてVroidで生まれたアイドルちゃん(左)とこいけ(右)を並べたものがこちら。

真反対の二人が、違う影を作っているようで同じ光を見上げている……という構図はエモくないですか?

さて、前回のMV作成で一つ思っていたことがあります。それは、

アバターに自由に動きをつけたい!

ということ!
いろいろ工夫をしてVroidを動かしてみたものの、欲しいモーションや素材がなかったりして歯がゆい場面が何度もありました。
そこで、今回は3か月借りられるモーションキャプチャーを発見しまして、自分の動きをそのまま動画に落とし込もう!と計画したわけです。

そう、自分の動きが動画になるのです。
お分かりでしょうか。私が、動けることが、前提なのです。

自慢じゃありませんが、マラソンを走らせたらブービー賞、ドッヂボール外野行きRTA走者の私に運動神経などありません。

歌に合わせて手描きの絵コンテを作り、いざイメージに合わせて踊らん! 録画開始!

……。
……??
全然、思い通りに動いていないぞ……!?

……と、ようやく妥協できる動きが撮れるまで、半日かかりました。
夜中にリビングで机やいすをどかして1人くるくる回っていた姿は、とてもじゃないですがお見せできません。

社交ダンスの動画を見たりもしました。いやはや所作が美しい。
まず背筋を伸ばしたまま美しくステップを踏む動作が難しすぎる。背筋を伸ばせば足がもたつくし、回ったら背中が丸まります。二つのことをいっぺんにできないや!

そうやって撮ったのが動画のCメロのワルツ、本の上で二人が踊っているシーンです。

本当は動きだけで男役・女役を交互にして、「役割に固定される」という窮屈さとそれゆえに今まで保たれてきた美の価値……みたいなものを表現したかったのですが、私の腰がバキッといいました。
腰をやったらもうだめです。サロンパス。

その分、意味合いは服装で補うことにしました。アイドルちゃんが着こなす騎士風コスチュームが予想以上にかっこよくてお気に入りです!

新しく挑戦したこと

他にも、新しく挑戦したことがあります。
1つは、MIDIキーボード!
前回の曲作りでは最初手打ちで音を打ち込んでいたのですが、とっても時間がかかる!
「もっと簡単に打ち込みがしたいなあ」と思い、MIDIキーボードの中でも入門編に位置するKeystation Mini 32 MK3を購入しました。

5000円ちょっとで買うことができ、コンパクトなので狭い机でもサッと置いて使えます。
こちらを導入したところ、格段に作業効率がアップしました。頭に浮かんだ音を、忘れる前にラグなく入力できるのが強い!
ピアノのタッチで少し人間っぽさを出せるのもよくて、打ち込みっぽさを軽減してくれます。

また、今回はすべてのMIXを自分で行いました!
『星影の語り人』では声のMIXとマスタリングを外注していましたが、『へび』はオールこいけメイド作品となっております。

「MIXには正解がない」の意味がよーーーーく分かりました。
つい「プラグインをこういう形で入れていくのが正解」と順を追ってやりたくなるのですが、必要がなければ省いてよく、この音をどうしたいか?を考えて入れることが大切だと学びました。
肌に合わせて化粧水を変えるように、音に合わせて編集をしてやらねばなりません。そのためには、「どういう音がよいのか?」を耳で知っている必要があり、まだまだここの経験が足りないなあ……と痛感しました。学ぶことはいっぱい!

clusterで生歌を初披露

さきほど少し触れたとおり、こちらの曲は12/20に行ったclusterでのライブにて披露いたしました。
こけら落としはclusterで関わってくださっている皆さまと一緒にしたいな~と思い、テーマの特集とは別で、一番最後のプラスαとして歌わせて頂きました。

自分で作っておいてアレですが、この歌リズムが難しいのよ!
ドラムの音が拾いにくいため、「え? 合ってる? ここで合ってるの?」と探りながら歌うことになります。
膝を叩いて全身メトロノームになりながら繰り返し練習し、本番では最初に歌った曲以上に緊張しましたが、心を込めて歌わせて頂きました。

歌い終わった後、一斉にピューイ!のエモーションを頂いたのを見て、心が温かくなりました。
拍手や労いをくださった皆さま、本当にありがとうございました!

そんなこんなで

ほの暗い気持ちはできることなら味わいたくないし、人生オールデイハッピーでありたい。けれど、そうもいかない日がある。
そんな日の心のささくれに少しでも寄り添える歌になっていますように。そして、いつか「そんな悩みもあったなあ」と人生の一部になる日が来ますように。

そんな願いを煮詰めてパッケージしております。よかったらご賞味くださいませ。

活動日記作詞・作曲・DTM
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