広島国際映画祭2024 レポート 1 |「16年目」新たなチャレンジの幕開けとなるイベントがスタート

イベント

広島国際映画祭2024 レポート

1日目 | 2日目 | 3日目

2024年11月22日より三日間にわたり、広島で映画イベント『広島国際映画祭2024』が行われました。

2009年に広島で開催された「ダマ―映画祭inヒロシマ」を前身として誕生したこの映画祭。「平和都市」広島という地で行われることもあり、「ポジティブな力を持つ作品を、世界から集めた映画祭。」というコンセプトにて毎年開催されており、昨年は15周年という節目の時を迎えました。

今回は三日それぞれのトピックスを日毎のコラムによりお届け、第一回は開幕を迎えた初日、22日の様子をレポートします。

開会式

今年も登壇者が観客席中央のレッドカーペットを颯爽と抜けステージに登場するという華やかな演出で始まった「広島国際映画祭2024」。

ステージに現れたのは、短編コンペティションに出品された六人の監督陣、広島の映画クリエイター迫田公介監督と回映画祭に出品された短編映画『寝てみること』に出演された女優陣、同じく広島の映画監督で今回登場した映画『惑星ラブソング』を手がけた時川英之監督、「MEIKO」/「原爆ドームと広島」実行委員会代表・出山ひさ子さん、事務局責任者・青木圭子さん、そして当映画祭の常連でもある藤井道人監督といった面々であります。

残念ながら映画祭の代表であり、日本を代表する美術監督である部谷京子さんは今回都合のため登壇ならず。その代打として「広島国際映画祭」の前身である「ダマ―映画祭 in 広島」の時代より非常にゆかりのある藤井監督が開幕を宣言、華やかにその幕を切って落としたのでした。

特別招待作品『青春18×2 君へと続く道』上映

ゲスト:藤井道人監督

開幕式が終わり、トップバッターとして登場したのは、藤井道人監督の『青春18×2 君へと続く道』。台湾のシュー・グァンハンと日本の清原果耶が出演、二つの国の間をめぐり紡ぎ出されるラブストーリーであります。

今回藤井監督はなんと台湾での仕事を終え二日だけの帰国、この後再び台湾に戻るという強行軍の中での登壇。この映画祭に向けた藤井監督の愛情の強さを感じさせます。

またその家系にも台湾とゆかりがあるという藤井監督。本作は台湾のアカデミー賞的な権威である「金馬賞」にノミネートと、台湾でも非常に高い評価を得ており、その受賞如何の行方とともに藤井監督の今後もますます期待したいところであります。

(C)2024「青春 18×2」Film Partners

【作品情報】

2024年製作(日本・台湾合作)/114分

監督・脚本:藤井道人

原作:ジミー・ライ

出演:シュー・グァンハン、清原果耶、ジョセフ・チャン、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳ほか

【あらすじ】

始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生・ジミー(シュー・グァンハン)は、日本から来たバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。

天真爛漫な彼女と過ごすうち、恋心を抱いていくジミー。しかし、突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案する。 時が経ち、現在。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを再び手に取る。

初恋の記憶がよみがえり、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意するジミー。東京から鎌倉・長野・新潟・そしてアミの故郷・福島へと向かう。 鈍行列車に揺られ、一期一会の出会いを繰り返しながら、ジミーはアミとのひと夏の日々に想いを馳せる。たどり着いた先で、ジミーが知った18年前のアミの本当の想いとは。

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特別招待作品『帰ってきた あぶない刑事』(バリアフリー版)上映

ゲスト:原廣利監督

二番手として登場したのは、本年の話題作の一つでもあった『帰ってきた あぶない刑事』を手がけた原廣利監督。大本は日本を席巻した大ヒットドラマでしたが、原監督は世代的にこの作品に合わず、もともと「なぜ自分が監督としてオファーされたのか」が明確には分からないというエピソードを披露。

ただもともとドラマのファーストシーズン最終回を、同じく映像クリエイターだったという父が手がけていたという事実があり、それが人づてに伝わってオファーにつながったのではないか、という興味深い話をされていました。

また原監督は藤井監督の後輩にあたる人で、もともとやはり「ダマ―映画祭 in 広島 2012」でグランプリを受賞された経歴もある人物。司会者より「帰ってきた 原監督」と紹介され、トークでは映画の裏話とともに、当時は東京から車で藤井監督やほかのメンバーとともに広島入りしたという懐かしのエピソードを語られていました。

(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

【作品情報】

2024年製作(日本・台湾合作)/114分

監督:原廣利

出演:舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、土屋太鳳、西野七瀬、早乙女太一、深水元基、ベンガル、長谷部香苗、鈴木康介、小越勇輝、杉本哲太、岸谷五朗、吉瀬美智子ほか

【あらすじ】

刑事を定年退職し、ニュージーランドで探偵事務所を開業していたタカこと鷹山敏樹と、ユージこと大下勇次が、8年ぶりに横浜へと戻ってきたある日、香港在住の日本人弁護士が何者かに殺害される事件が起こる。

事件に気になる点を感じた鷹山は、過去に二人と因縁のある男・劉飛龍(リウ・フェイロン)のもとを訪ねる。鷹山はそこで出会った飛龍のビジネスパートナーであるステラ・リーが、かつての恋人に似ていることが気にかかった。

その頃、鷹山と大下が運営する「T&Y探偵事務所」に永峰彩夏という女性が訪れ、母親を捜してほしいと依頼してくる。彩夏の母親の夏子は、鷹山と大下の旧知の女性だった。夏子捜索を開始した二人だったが、横浜では劉飛龍とのつながりをにおわせる不審な事件が多発し……。

国際短編映画コンペティション

1日目のラストは、映画祭の一つの目玉でもある国際短編コンペティション。世界の意欲的な映像作家六人が作り上げた短編が上映されるとともに、それぞれの作品に込めた思いを語られました。

ゲスト:

ワン・ミンシア(『金花(チンファ)の歌声―時を旅して / Chinhua’s Blossom Unfolds』監督)

(C)Rotary Club of Taipei Liberty

【作品情報】

2023製作(台湾映画)/27分

監督:ワン・ミンシア

出演:ホーチェン・チンファ、ホー・リファ、ホー・チャオファ、ハイミン・ホアン、ホー・シューファ、ホー・マンファ、ホー・チーファ、ホー・シュアンファ、ホー・インファ、チェン・チーユー、チン・ユージュ、チンティン・ホー、リン・タイウェイ、リン・ペイジュウ、ツァイ・サンシェ、ツァイ・ロビン、カン・フン

【あらすじ】

102歳の長寿・何陳 金花(ホー・チェン・チンファ)は、かつて鶯鶯(インイン)の芸名で歌手として活躍していた。「永遠の春(Endless Spring)」や「椿娘(The Camellia Lady)」は、日本ビクターから1938年に発売されている。

今、台湾語歌謡曲を歌った女性歌手の第一人者でもある金花の歌声が、台湾独特の歌声を残したかつての鶯鶯の響きが重なり、百年の流れがまるで一瞬のように感じられるような光景が描かれる。


ロタ・モエン(『ゴム採取者 / The Rubber Tappers』監督)

【作品情報】

2023製作(カンボジア映画)/20分

監督:ロタ・モエン

出演:フェアラン・ポヴ、ランダル・ドウシ、スレィリーブ・ノヴ、クロアーング・ソゥク、マリー・シィヴ、ホーングリィ・シィヴ、ボォーク・サン、ドゥアン・ソゥク、スレイボー・ピン、ソスソヴァンコング・ソウほか

【あらすじ】

カンボジア北東部のラタナキリ州で、11歳の少年クレックは両親が働くゴム農園で暮らしている。少数民族のクルン族出身の彼らはゴムの木の樹液を採取する仕事をしている。

しかし、プランテーションの真ん中で地面に横たわるこの巨大な黒焦げの木はどこから来たのだろうか?クレックが見つけた答えは、見た目よりもずっと複雑なようだった。


イフサン・アフディアット(『秘密にしておく / Visiting Linda』監督)

【作品情報】

2023製作(インドネシア映画)/23分25秒

監督:イフサン・アフディアット

出演:ヴォニー・アングライン、マイシャ・カンナ、ワンギ・ホエッドほか

【あらすじ】

一人親のエルニは、イスラム寄宿学校に通う娘リンダからの食料品リストの依頼を受け取った時、どこか彼女の様子がおかしいことに気づく。


北畑龍一 (『さよならを決めた日』監督)

【作品情報】

2023製作(日本映画)/30分

監督:北畑龍一

出演:戸塚純貴、渡辺真起子、遊屋慎太郎、高尾悠希ほか

【あらすじ】

「母親が、もうすぐ死ぬみたい。」突然の病院からの連絡。聡にとって疎遠だった母親の病気の知らせは現実味のない話だった。
久しぶりの故郷で再開した母は、呆れるくらい元気そうで、そして嫌になるくらい自分勝手だった。そんな母が嫌で、疎遠になったことを改めて理解する聡。
聡は母を連れ、思い出のラーメン屋へと行く。箸の進まない母を見て、母の病状の悪さを察する聡。聡と母は、少しでも満足のいく別れ方を探し始める。


イ・ジヒョン(『ゴースト・ララバイ / The Ghost Lullaby』監督)

(C)Lee Jihyeong

【作品情報】

2023製作(韓国映画)/29分59秒

監督:イ・ジヒョン

出演:ビョン・ジュンヒ、ハ・スンヨン、キム・ユンスルほか

【あらすじ】

一人暮らしの高齢者Soonokは、ずっと音信不通だった娘のEunryeongと孫娘のYeonjiと再会する。 長い間蓄積してきた感情を込めて、あの夜誰かが歌った子守唄は、誰に向けたものだったのか……。


ロジャー・シュエ(『囲碁教室/Go Class』監督)

(C)Roger Xue

【作品情報】

2023製作(中国映画)/15分57秒

監督:ロジャー・シュエ

出演:ヤン・レハン、パン・シューヤオ、ジュ・チューボーほか

【あらすじ】

夏休みが始まり、囲碁の才能を持つバイフェン(白峰)は囲碁教室に通い始めた。そこで一人の少年ガンイ(刚毅)と出会い、クラスメイトたちから距離を置かれている二人は仲良くなる。

しかし、囲碁教室での試合の日が近づき、ガンイは勝つために反則しようと試みる。彼を止めようとしたバイフェンだが、先生とクラスメイトに誤解され、これをきっかけに彼らの友情関係も壊れ始めてしまう⋯…。

その他のイベント

迫田公介監督ワークショップ

またこの日は、広島・呉在住の迫田公介監督によるワークショップが開催されました。テーマは「オーディション体験」という興味深いもの。自身の作品でオーディション実施を経験してきた迫田間と説くならではの実践的なワークショップとなりました。

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