映画『リボルバー』 「韓国ノワール」を体現する秀作ダークサスペンス

レビュー
(C)2024 PLUS M ENTERTAINMENT, SANAI PICTURES AND STORY ROOFTOP ALL RIGHTS RESERVED.

韓国サスペンス映画ならではの特徴ともいえる「激しい暴力描写」と「社会批判的な視点」をベースとした、裏社会や犯罪をテーマにした韓国発の映画ジャンル「韓国ノワール」。そのダークな雰囲気が満載のサスペンス『リボルバー』が全国公開されました。

裏社会における不条理、罠、憎悪、そして復讐といった「ノワール」要素で満たされた本作。主演のチョン・ドヨンをはじめ実力派のベテラン俳優が集結、淡々と進んでいく展開の中で激しくもつれ合う人間たちの生々しい生きざまを鮮烈に描き出し、非常に見応えのあるアクション・サスペンスとして作り上げられました。

映画『リボルバー』概要

作品情報

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闇社会の罠にはまった一人の元女性警官が、当人たちに復讐のごとくその代償を求めるさまを描いたアクション・サスペンス。

『無頼漢 渇いた罪』などのオ・スンウク監督が作品を手がけました。

主演は『シークレット・サンシャイン』『キル・ボクスン』などのチョン・ドヨン。ほかにも『操作された都市』などのチ・チャンウク、ドラマ「ザ・グローリー 輝かしき復讐」のイム・ジヨン、『新しき世界』などのイ・ジョンジェ、『密輸 1970』などのキム・ジョンスら実力派ベテラン勢が名を連ねています。

あらすじ

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念願のマンションへの入居を目前にしていた警察官スヨンは、恋人であり同じ警官の男性が抱える裏金問題に巻き込まれてしまいます。

謎の男アンディから「すべての罪をかぶってくれるなら、大きな補償を約束する」と持ちかけられ、スヨンはその提案を受け入れ、刑務所に入ります。

2年後、出所したスヨンを刑務所の前で待ち伏せしていたのは、見知らぬユンソンという女性ただ一人。元々の契約からの異変を直感したスヨンは失ったもの、得られるべきだったものすべてを取り戻すために、アンディを探しはじめます……。

作品詳細

製作:2024年製作(韓国映画)

原題:리볼버(英題:Revolver)

監督:オ・スンウク

出演:チョン・ドヨン、チ・チャンウク、イム・ジヨン、キム・ジョンス、イ・ジョンジェほか

配給:ツイン

劇場公開日:2025年2月28日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト:https://revolver-movie.com/

これぞ「韓国ノワール」!生々しく描かれた闇社会に生きる人間たちの姿

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本作は社会の裏にうごめく「汚れた闇の世界」、その中で犠牲になった一人の女性が、人生を取り戻すべく冷ややかな表情のまま復讐に燃える姿を追ったもの。全編に漂う不穏な空気、笑えるスキなど微塵も無いダークな雰囲気は、まさに「韓国ノワール」の王道ともいえるストーリーであります。

物語はチョン・ドヨン演じる主人公スヨンが復讐の念に引きずられるように歩んでいく姿で展開していきますが、彼女は罠にはめられたものの、彼女自身の立場は決して肯定されるものではない、あくまで悪の道に自ら飛び込んでしまった末の運命をたどっていきます。

しかしそんなネガティブな背景がありながらも、物語はどこかスヨンの立場に共感できるものを示し、見るものをグイグイと引き込んでいきます。それはスヨンをはじめ本作に登場する人物に対して巧みに描かれた、人物背景にあるもの。

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監督のオ・スンウクが手がけた『無頼漢 渇いた罪』『キリマンジャロ』もいわゆる「ノワール」的な、激しい争いの中に人の闇を描くダークな作品であり、本作はある意味この路線をそのまま受け継いだ作品であり、スンウク監督ならではのカラーが光るものであるといえるでしょう。

また本作はほかにも、スヨンと彼女を引き込んだ男性との関係性にも大きなポイントがあるようにも見えます。愛憎と不正が複雑に絡み合う二人の関係は、わりにシンプルにも感じられる筋の中でも十分な見応えを作り上げています。

この男女の複雑かつ繊細な関係の描写はまさにチョン・ドヨン、イ・ジョンジェというベテラン実力派ならではというところであり、かつ人間描写にすぐれた手腕を発揮するスンウク監督ならではのものででもあります。スヨンの復讐に燃える念と、男性に寄せる情がうまく明暗のコントラストで描かれており、「韓国ノワール」ファンにも納得の、見応え十分な物語であります。

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