映画『ドミニク 孤高の反逆者』正体不明の女性の中に見える「強さ」が示すものとは

レビュー
(C)2023 DOMINIQUE THE MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

超絶バトルアクション『ジョン・ウィック』シリーズを彷彿とさせる、多人数相手の銃撃・格闘バトルに挑む最強女子が登場する映画『ドミニク 孤高の反逆者』が全国公開されます。

悪がはびこる南米コロンビアのとある街を舞台に、ひょんなきっかけで街を訪れた一人のグリンガ(よそ者の白人女性)が、腐敗した警察と麻薬カルテルを相手に激戦を繰り広げる様を描いた本作。

ウクライナ系アメリカ人でトップモデルとして活躍する主演オクサナ・オーランのクールな美貌と高い演技力、マーシャル・アーツの経験が活かされた、アクションファン必見の衝撃的バトルアクションです。

映画『ドミニク 孤高の反逆者』概要

作品情報

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無法地帯と化した南米コロンビアを舞台に、街にやってきた正体不明のウクライナ人女性が、腐敗した警察と麻薬カルテルを相手に繰り広げる激戦を描いたアクション。

『サベージ・キラー』『コカイン・ブライド』などのマイケル・S・オヘダ監督が監督・脚本・編集を手がけました。

主演はウクライナ系アメリカ人の俳優オクサナ・オルラン。彼女はマーシャルアーツの訓練も受けており、本作でも抜群のアクションを披露しています。共演は『ザ・アウトロー』のモーリス・コンプト。

あらすじ

コロンビアの小さな街にたどり着いたウクライナ人女性ドミニク。街では警察官フリオとその家族と共に静かな日々を過ごしていました。

ところがある日、街を支配する腐敗した警察と麻薬カルテルによってフリオが惨殺され、彼の家族も危険にさらされてしまいます。

大切な人々を守り、復讐を果たすことを決意したドミニクは、過去に封印していた抜群の戦闘スキルを駆使し悪党たちに対抗、一切容赦なく銃弾を浴びせ、孤高の反逆者として立ち向かいますが……。

作品詳細

製作:2024年製作(アメリカ・コロンビア映画)

原題:Dominique

監督・脚本:マイケル・S・オヘダ

出演:オクサナ・オルラン、モーリス・コンプト、ホセ・コネホ・マルティン、セバスティアン・カルバハル、マリア・デル・ロサリオ、アラナ・デ・ラ・ロサ、グスタボ・アンガリタほか

配給:彩プロ

劇場公開日:2025年11月21日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト:https://dominique.ayapro.ne.jp/

「タブー上等!」なバイオレンス性と「鋭く、かつ冷静」な結末の組み合わせ

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本作を特徴づけているのは、その凄まじいバイオレンス感。

たくさんの兵士が投入される戦いの表現は従来「男のもの」とされてきた銃撃の現場に、なんと銃など持ったことのない女性のほかに、子供までが投入されてしまう。まるでアクション映画のタブーを犯したようなその構成は、見るものに強烈な衝撃を与えることでしょう。

その結末は映像表現以上に凄惨なイメージを伴い、平和な日常の脆さを突きつけてくるようです。

かなりひねられている印象でもある物語の展開は、戦っても戦っても終わらないディストピア感が充満。単なる勧善懲悪では済まない現実世界の厳しさを感じさせ、観衆を深いサスペンスの世界へと誘います。

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そしてもっとも衝撃的なのは、見る者の期待を裏切るクライマックスから、エンドロールに差し掛かる圧巻のラスト。常識的な「ハッピーエンド」を期待していると、よい意味で裏切られる「ええ〜っ!」と思わせる展開で観衆の度肝を抜きます。

ある意味強引にも感じられる結末でありながら、豪胆で揺るぎない豪傑感を持つ主人公ドミニクの人物像と一貫した行動原理から見れば、納得感の高い冷静な終わらせ方にも見えます。

かなり激しいアクションが続きながらも、終わりにはまるで「鋭利な刃物でスパッと切られる」ような鋭い終焉が訪れ、血みどろのアクションながら妙にスッキリした満足感、開放感が得られる作品でもあります。

1990年代から見られ始めた「女スナイパー」の系譜を更新した現代の強さ

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本作の一番の魅力は、やはり主人公ドミニクの存在自体。彼女の存在は、1990年のリュック・ベッソン監督作『ニキータ』以降、数多く登場してきた「女殺し屋」系作品の系譜に連なっているといえるでしょう。

一方、ドミニクが持つ人物像は、例えば2017年の映画『アトミック・ブロンド』に登場したシャーリーズ・セロンや、『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョボビッチのような、系譜を現代的にアップデートされた空気感も見えてきます。

彼女は女性ならではのセクシーさを持ちながらも、ひとたび動けば男勝り。銃撃から肉弾戦、そして普段の立ち振る舞いや語り口まで、様々な視点から「強さ」を感じさせる人物像が描かれています。

本作の根底には、女性の社会進出を肯定する強いメッセージ性が感じられますが、その描かれ方は「フェミニズムを訴えている」というよりも、「私たちにはすでに立ち上がる力がある」ことを示しているようでもあります。

女性が弱さを乗り越えるという思いから「女性が人を率いる」という次の段階への、現代の女性像を映し出している光景が映し出されているともいえるでしょう。

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またウクライナ出身の主人公が、舞台となる南米コロンビアの不正がはびこる社会で戦うという組み合わせにも、どこか意味深さを感じずにはいられなくなるポイント。

これは、国や文化を超えて、正攻法が通用しない「不正を我慢する社会」への静かな抵抗を象徴しているのかもしれません。慎ましく生きる一家のもとに訪れたドミニクは、言葉ではなく行動で「自分たちを守るために、自分たちが立ち上がる」という、普遍的な真理を強烈に示して見せます。

ドミニク役を演じたウクライナ系アメリカ人オクサナ・オルランは、クールなイメージを持ちながらも強い眼差しが感じられ、まさにドミニクのイメージにピッタリ。「強い女性」に憧れる女性には、強くアピールする作品であるといえるでしょう。

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