こんにちは、そら嬢です。
2025年4月からclusterではじめたそら嬢朗読会。おかげさまで半年続けることができました!
毎月、何を読もうかと題材を探し、練習をして、お客様に聞いていただいて。
そして感想や考察を一緒にお話しできる、とっても充実した時間になっています。
いつもお越しくださる皆さま、本当にありがとうございます!
せっかくなので、毎月の記録を残していきたいと思います。
なぜこの作品を選んだのか、どこが好きなのか、そしてお客様と一緒にお話しした感想などを数回ごとに記事にまとめて行く予定です。
第一夜(4/25)&第一夜リベンジ(5/13)
ここからスタートした、記念すべき第一回目の朗読会!
…ですが、この日は満足のいくイベントにはなりませんでした。
声が一番大事な朗読イベントなのに、音声がきれいに届かないトラブル…本当に不甲斐ない思いでいっぱいになりました…。
詳しくはこちらの記事に書いてありますので、
もし何があったのか気になる方は読んでみてください。
そして後日、こねこ惑星の皆さまのお力を借りて、第一夜リベンジのイベントを開催しました。
こちらでは音声も良好で、無事にイベントの形を作ることができました!

芥川龍之介『蜘蛛の糸』
一番最初の朗読の題材に選んだのは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』でした。
初回ということもあり、あまり感情の起伏が激しくないもの、そして来てくださるお客様にも馴染みのあるものを読みたいと思い選んだ作品です。
『蜘蛛の糸』なら、ちゃんと読んだことはなくてもあらすじやタイトルは知っているという方も多いと思います。
個人的には、主人公のカンダタが救われることに必死であるのに対して、作品の文章は全体を通して淡々としているところから、万物に対して平等なお釈迦様の目線を感じられるところがとても好きな作品です。
平等というとちょっと語弊があるかもしれませんが、お釈迦様は善は善として、悪は悪として受け入れる、ある種の寛容さのようなものをお持ちなのだと思うわけです。
人間をはるかに超えた存在でいらっしゃいますから、人間では推し量れない達観した目線をお持ちなのだろうと。
ちなみに、Google先生で『蜘蛛の糸』と調べてみたところ、予測変換に「お釈迦様 ひどい」といったものが出て笑ってしまいました。
カンダタに感情移入してしまう人間の目線だと、ひどいと感じてしまうのも無理はないかもしれません…でもそこは、お釈迦様だしなぁ…
イベントの時に話題になったのは、もしカンダタが糸を独り占めしなかった場合どうなっていたのだろうか、ということ。
とっても興味深いお話でした…お釈迦様はカンダタ以外の罪人たちも極楽へ受け入れるのか?それともカンダタの下で糸を切ってしまうのか?
こればかりはお釈迦様のみぞ知る、といったところでしょうか…
▶『蜘蛛の糸』芥川龍之介(青空文庫より)
小川未明『学校の桜の木』
こちらは、第一夜が4月に開催ということで、春っぽいものをと思い選んだ作品です。
小川未明さんは児童文学を多く描かれている作家さんで、この作品もとてもほっこりとしたお話でした。
四季折々の桜の木の様子や、桜の木の懐に包まれて年月とともに成長する子供たちの様子が、とてもやさしくあたたかい言葉で紡がれています。
学校と子供たちを愛し、また皆に愛されてきた桜の木。
読みながら、そういえば通っていた小学校のまわりには桜の木がたくさんあったなぁ、よく遊んだ公園には大きなヤマモモの木があったなぁと子供の頃を思い出し、あの木たちもわたしたちの成長を見守ってくれていたのかも、と嬉しい気分になりました。
▶『学校の桜の木』小川未明(青空文庫より)
第二夜(5/30)
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宮沢賢治『よだかの星』
朗読をはじめたときから、いつか絶対に読みたいと思っていた大好きなお話です。
醜いと周りから蔑まれてきたよだかの、悲しくも美しい最期。
何回読んでも泣いてしまいます。
朗読会当日も、皆さまにお話を届けるためにも泣かないようにしようと思っていたのですが、後半は涙ぐみながら読んでしまいました。
よだかの寂しさ、やるせなさ、心細さ、葛藤、空気の冷たさ…そんなものが痛いほどに伝わってきます。
やさしくつよい心を持っているよだか。最後に高く高く叫んだよだかは、何を思っていたのでしょうか…
幼い頃に読んだときは、よだかがお星さまになれて良かったと思った記憶があります。
でも大人になってから読むと、素直に受け止めることが難しくなりました。
せめて見上げる星空のどこかで、よだかの星が美しく輝いていることを願うばかりです。
▶『よだかの星』宮沢賢治(青空文庫より)
▶YouTubeにイベント当日の動画もアップしました!
出張版 午後のひととき(6/15)
clusterにあるJR西日本さまの公式ワールド「バーチャル広島駅 ソラモア広場フロア」にて、朗読会をさせていただきました!
美しい青空が広がるワールドでしたので、いつもと時間を変えてお昼の時間帯に開催しました。
青空の下での朗読もとても気持ちが良かったです!

『谷間からの手紙』林芙美子
開催が「バーチャル広島駅」ということで、広島に縁のある作家さんの作品を読みたい!と思い、広島県尾道市に縁のある林芙美子さんの作品を選びました。
療養のため谷間の町へやってきたかづ子から、友人の百合江へ宛てた4通の手紙からなるお話です。
ワールドに大きなスクリーンがあったので、耳でも目でも物語を楽しんでいただけるように手紙風のスライドを用意しました。
恥ずかしながら林芙美子さんの作品をはじめてちゃんと読んだのですが、日常風景を描くのがとてもお上手な方だなと思いました。
かづ子の視点でのみ語られているにもかかわらず、ちいさな谷間の町の風景がありありと目に浮かびます。田舎の良いところも、ちょっと嫌なところも、現代に通ずるものがありますね。
「だんだんと暮らしに慣れて愚痴っぽくなるのが現代と同じでおもしろい」というコメントもいただきました。
都会への憧れが捨てきれなかったり、軽々しく気を引こうとする若者に嫌気がさしたり、お年頃のかづ子の心情も、今の私たちが読んでもなんとなく共感できる部分がたくさんあるように思います。
どの時代も、人間はそう変わらないものですね。
ちなみに、尾道に縁のある作家さんとして今回取り上げたのですが、この『谷間からの手紙』は広島が舞台ではないように思います。
谷間の町の人たちの言葉がちょっと東北のほうの言葉に近そうだな?と思ったのと、東京まで列車で行き来するくらいの距離なので、北関東あたりかしら…?と思っているのですが、いかがでしょうか…
▶『谷間からの手紙』林芙美子(青空文庫より)

▶YouTubeにイベント当日の動画をアップしました!
第三夜(6/27)
6月といえば雨、雨といえば蛙、ということで、第三夜は蛙特集にしてみました🐸

林芙美子『蛙』
出張版に続き、林芙美子の作品をチョイス。
なんてことない、雨の日の日常を切り取った作品です。
でもそのなんでもなさがすっと心に染み入ってきます。
ちいさな妹を持つ兄の、責任感と心細さの入り混じった感じ。
より江の、まだ幼い子ども特有の伸び伸びと過ごす様子。
田舎の人らしくさっぱりとしたお母さん、気立てのよさそうなおじさん。
起こるドラマは「青蛙がいる」というだけ。
こんな穏やかなお話も、良いものじゃありませんか。
お客さまはちょっと退屈だったかもしれませんね…
▶『蛙』林芙美子(青空文庫より)
芥川龍之介『蛙』
先の林芙美子の『蛙』とはがらりと違う雰囲気の作品です。
さながら鳥獣戯画のように、蛙の演説がコミカルに描かれています。
これは、読むのがとっても楽しかった!
コメントで「読むのがすごく楽しそうだった」と言われるほど、生き生きと読んでいたようです笑
先の展開は想像に容易いお話なのですが、テンポの良い言葉運びがとっても心地良いんです。
蛙たちが「この世は蛙のためにある」と考えているのがとても動物的で、芥川らしいなぁと感じます。
▶『蛙』芥川龍之介(青空文庫より)
そら嬢朗読会 夜のひととき
『そら嬢朗読会 夜のひととき』は、毎月、月末の金曜日にclusterにて開催しております。
約30分ほどの朗読イベントです。
文学作品に耳を傾けながら、ゆったりと過ごしていただけるような時間を作っていきますので、読書がお好きな方はもちろん、普段あまり触れる機会がないという方もぜひ遊びにいらしてください✨

▶そら嬢 clusterプロフィール https://cluster.mu/u/sorajou
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