映画『THE SIN 罪』 上質の新作韓国ホラー!衝撃の結末は驚愕必至…

レビュー
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今回紹介する作品は、韓国ホラー『THE SIN 罪』。ある新人女優が奇妙な映画撮影のオファーを受け山奥の撮影現場に赴き、そこで体験する怪奇な体験を描いた物語であります。

ゾンビ、呪術などとホラー要素が満載のこの作品。しかしエンタメ映画では現在アジアでも最先端を行く韓国の作品だけに「ここはコワかった」などといった薄っぺらい印象など皆無。怪しい雰囲気から冷水を頭からぶっかけられるようなショッキングシーン、そして脳内に混乱をもたらすどんでん返しまで、筋金入りのホラー、ミステリーファンを裏切りません!

ちなみにこの記事のトップ画像から四枚目の画像をご覧ください。

どうです?いや〜それにしてもエグい画…あまりにもインパクトのある画なので、実はこの画像をトップに持ってこようとしていたのですが、編集さんに「いやいや、これはいくらなんでも…」と怒られまして(笑)。この画が示すようにホラー度、グロ度もかなり高い作品であります…

映画『THE SIN 罪』概要

作品情報

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山奥の廃墟で行われていた映画撮影に呼ばれた一人の女優が出くわす奇妙な謎の呪術集団や生ける屍の群れによるパニックに恐れおののく中で、驚愕の結末が明らかになっていくさまを描いたホラー。

作品を手掛けたのは、韓国の新鋭ハン・ドンソク監督。ドラマ『ヴィンチェンツォ』のキム・ユネが主役を努めます。

また本作は世界の3大ファンタスティック映画祭のひとつといわれる「ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」のコンペティション部門に出品され高い評価を得ました。

あらすじ

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とある映画撮影のため山奥にある廃墟へとやってきた新人女優のシヨン。

演技指導もなく「提示したビデオの通り、ただ踊る」オファーの段階より監督からの依頼は奇妙なものでした。

それでもあえて撮影に挑戦すべく訪れたシヨン。しかしギリギリの予算で組まれた現場はトラブルも続出、スタッフ間の関係もギスギスした現場で不安にかられながらも、彼女は奮闘を続けます。

ところが撮影の途中、現場に突如血まみれの女性スタッフが現れ、いきなり屋上から飛び降りてしまいます。

あらぬ格好で地面に叩きつけられた女性。即死と思われた彼女はおもむろに立ち上がり、駆け寄った別のスタッフに襲いかかっていき…。

作品詳細

製作:2024年製作(韓国映画)

英題:The Sin(原題:씬)

監督:ハン・ドンソク

出演:キム・ユネ、ソン・イジェ、パク・ジフン、イ・サンアほか

配給:アルバトロス・フィルム

劇場公開日:2024年11月29日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト:https://thesin.jp/

「韓国ホラー」ならではのゾンビの描き方が光る

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※流血表現があるため、この写真はモノクロフィルターを使用しています。クリックするとフィルターなしで表示されます。

本作における1つ目の注目ポイントは、やはり「ゾンビ」の存在でしょう。撮影隊の前に突如として現れた「生ける屍」たち。

本作に登場するゾンビは、他に登場する「謎の呪術集団」という存在との関係からも、つまりはジョージ・A・ロメロが生み出した近代ゾンビ以前の形態のものであることが容易に想像できることでしょう。

つまりは呪術のような非現実的手法により発生するもの。アフリカのベナン、ハイチなどで信仰される民間宗教のヴードゥー教により死者が蘇る、といった作品がロメロ作の「ゾンビ」以前には顕著に発表されており、本作もある意味この古典的なジャンルに属するものともみられます。

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一方でこの「呪い」という要素は、韓国ホラーとしては2016年の『哭声/コクソン』など多くの作品が発表されており、ある意味お家芸的なポイント。

近年では2021年の『呪呪呪/死者をあやつるもの』に登場した「シャープに動き回る大量の蘇った死人」が話題になりましたが、本作は「呪術」「ゾンビ」「血のり」「伝染性」と、古典の伝統性を取り入れながら、近代ゾンビホラーの美味しい部分をも包括したものであります。

グロテスク描写では近年その高い技術力を誇る描写に注目を浴びているアジアン・ホラーですが、韓国ホラーはその中でもかなり洗練された印象もあり、本作も十分な衝撃性を提供してくれる作品であるといえるでしょう。

ゾンビだけじゃない!?「ミステリー要素全部のせ」の豪華ホラー

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ここまで説明すると当然「これはゾンビ映画か」と思われるでしょう。ところが物語は中盤以降に急展開、予想だにしない方向に向かっていき、「こんな映画だろう」とタカをくくって作品を見ている人は大きな肩透かしを食らうことになります

「なぜこのシヨンという女性は、この撮影に選ばれたのか?」「タイトルにある『罪』の意味とは?」この展開の中で、おそらく見ている側は忘れていたことに気づくことでしょう。

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つまりはこの「罪」という要素に対する復讐の物語、というポイントが本作の核心に当たる部分であります。そして「誰が誰に対して」「どんな『罪』で」という疑問が本作の焦点となるわけですが、物語の隠れた背景がかなりとんでもないモノ。ここまでのバックグラウンドをよくぞまあ描いたものだと、そのどんでん返しに驚けば必ず思うことでしょう。

具体的には、呪術ゾンビ物語に2018年の映画『The Witch/魔女』の要素を織り交ぜた、という感じでしょうか。構成要素がかなり多いにもかかわらず、うまく整然とまとめ仕上げられているのも見事。

ビジュアルだけ、ストーリーだけと一方によらない、ホラー☓スプラッター☓ミステリーをうまく組み合わせた構成は高い完成度を感じさせ、エンタメ的にも十分満足できる作品であります!

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