コメディー映画『モリー・シンガー “2度目”のキャンパスライフ 最高な大学生活の過ごし方を教えます!!』が全国公開されます。
一人のキャリア・ウーマンがひょんなきっかけで学生時代に逆戻り、一人のダメ学生を救うべく奮闘しながら、自身の人生を見つめ直していく姿を描きます。
なんとも長いこの邦題(笑)ですが、物語のポイントはまさにこのタイトルの通り。ポップな魅力を持った主人公が自身の強みを発揮し、懸命に奔走する姿は多くの人が惹きつけられ、たくさんの元気をもらえるでしょう。
さまざまな問題が噴出することで暗い雰囲気にある現状を吹き飛ばしてくれるような、底抜けに明るくスカッとするコメディー作品であります!
映画『モリー・シンガー “2度目”のキャンパスライフ 最高な大学生活の過ごし方を教えます!!』概要
作品情報

ひょんなことから2度目の大学生活を送ることになった女性弁護士の奮闘を描いたコメディー。
ホラー映画『ファンハウス』(2015)を手がけたアンディ・パーマーが監督を務めました。
主演には『トゥモローランド』のブリット・ロバートソン。ほかにも『ジュラシック・ワールド』のタイ・シンプキンス、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』のニコ・サントスらがキャストに名を連ねています。
あらすじ
モリー・シンガーは、大学時代よりその絶大なるリーダーシップで多くの支持を集めつつ、一方で華やかで騒々しい日々を送っていました。そして現在は大手弁護士事務所で若手弁護士として勤める一方、大学時代の日々が忘れられず、卒業から10年近く経った現在もパーティー三昧の毎日を送っていました。
ところがある日、パーティーでの飲み過ぎが原因で上司ブレンダから任されたキャリア最大の案件に遅刻、大失敗をしてしまいます。
失望に暮れる中、ブレンダは解雇を免除する条件として、社交性に欠けるブレンダの息子エリオットが学校の一軍生で構成される社交クラブに入会できるよう、新入生生活を手助けするよう命じられます。
エリオットが進学した学校は、モリーの母校バーネット大学。かくして学校に再入学し、彼女の親友ポーリーの協力で、エリオットのサポート大作戦がスタートするのですが……。
作品詳細
製作:2023年製作(アメリカ映画)
原題:The Re-Education of Molly Singer
監督:アンディ・パーマー
出演:ブリット・ロバートソン、タイ・シンプキンス、ニコ・サントス、シエラ・ラミレス、ホランド・ローデン、ウェンディ・マリック、ジェイミー・プレスリーほか
配給:スターキャット
劇場公開日:2025年3月7日(金)より全国順次ロードショー
公式サイト:https://cinema.starcat.co.jp/mollysinger/
苦難を乗り越える姿の中で描く「既定路線を打破する思想」

『超能力学園Z』『ポーキーズ』『天才アカデミー』など、80年代には学校、学園を舞台にした、いわゆる「学園コメディー」と呼ばれるジャンルの作品が多く発表され、人気を博しました。
本作もある意味このカラーをにおわせます。しかし主人公モリーはどこか型破りでかつなんらかの隠し事はありながらも、不正の一線を決して越えようとはしない理性を持つなど、ある意味「現代の学園コメディー」の描き方を示している雰囲気もあります。作品のテンポ感としても、「とにかくハイテンション!」という一辺倒な旧作とは若干異なる、抑え目な雰囲気が時に感じられるところ。
一方、卒業から10年で母校に逆戻りというモリーのキャラクターは非常に興味深いものであります。
ハチャメチャな現場に身を置かれながらも、最後は毅然とした態度で状況をあるべきところにもっていくその姿は、今求められているリーダーの姿を描いているようでもあります。反面、絶対的なリーダーシップを持ちながらも、時に思い悩むような姿を見せるシーンなどには、その人間性に共感させられるものでもあります。

また、そのバカバカしさの奥にあるメッセージには、深くポジティブなものを感じさせます。
物語には現代社会における子供たちの生きづらさ、ハラスメント、ヒエラルキー、イジメ問題などが、学校内に存在する旧態然とした社交クラブの実態で描かれ、これに対して果敢に立ち向かっていくモリー、エリオットの姿には、共感を覚える要素が感じられます。
作品をコメディーとしているところにこういった「見る人を惹きつける力」が存在しており、共感とともにそのさまざまな問題を抱えている人たちに勇気を与える効果も見えてきます。
モリーが乗り越えた一つの壁の先には、よりよい社会を創造していくという姿勢を表すメタファーのようなものも感じられ、作品を見終わった後には非常に爽快な気分を味わうことができるでしょう。
なお、これまで多くの映像作品の編集を手がけてきたアンディ・パーマー監督ですが、代表作としてはやはり『エルム街の悪夢』シリーズで殺人鬼フレディを演じてきたロバート・イングランドが主演の映画『ファンハウス』。
この作品は基本的にはホラーでありながら、主人公の胸の内にある心理をうまく「惨劇」に合わせて物語を展開させており、物語の芯となる部分、メッセージ的なポイントをバランスよく表現しています。本作もジャンルは違えど、このような作品作りの本質がうまく生かされているといえるでしょう。