ちょと前までの私にとって、存在は知っているけどつまみ食いくらいしかすることがなかったバ美肉紅白というイベント……メタバースに片足つっこみ始めたということで今年の秋頃くらいから猛烈に興味が湧いていました。
そんな高まる興味の中でバ美肉紅白が2023年12月23日に開催されると知り、初めてリアタイ参加することができました!
ぶっちゃけ、この日が楽しみすぎてリアタイ参加のために周辺の予定を全部動かしたので、世の中が盛り上がっているクリスマスイブもクリスマスも全部潰れました!
でも全く悔いはないっ!
バ美肉紅白というイベントに参加するまでは一部のカルトな人たちが楽しんでるパーティかなっていう大変失礼な印象があったのですが、実際は…まぁそうなのかもしれませんが、それだけではなく感動あり学びありのものすっごいイベントだったのです。
これを知らずに人生を終える人がいたとしたら大変な損失なのでは?
「バ美肉」っていう字面の強さからなんとなく恐ろしくて(?)敬遠している人がいたら勿体なさすぎるのでは?
などの気持ちと「たぶん来年もやってくれるから、来年はさらに新しい仲間が増えたらいいな」という思いも込めて、超素人視点の私がほんの少しだけ紹介のお手伝いをしたいともいます!
界隈の方は百も承知のイベントでしょうから、界隈を超えていろんな人の元に届けこの魅力!
予備知識
全く知らない人向けに紹介していますので、まずはこの記事を読んでもらう上で必要な予備知識をお伝えしますね!
バ美肉(ばびにく)という文化
ネットに長く触れている人なら「バ美肉(ばびにく)」という言葉は馴染み深いと思いますが、まだまだ「なにそれ、なんか響きがめっちゃ怖い!」って感じの人もいると思うのでまずはここから。
こちらはWikipediaから、この記事を読むために必要十分ぽいところを抜粋です。
バ美肉(バびにく)とは、バーチャル美少女受肉(バーチャルびしょうじょじゅにく)またはバーチャル美少女セルフ受肉(バーチャルびしょうじょセルフじゅにく)の略語。美少女のアバターを纏うこと、あるいは、纏ったうえでサイバースペース(バーチャル空間)の美少女として、VRChat等のサイバースペースで活動したり、バーチャルYouTuber、バーチャルアイドルなどとして活動することを指す。ボイスチェンジャーを使うか自身の発声方法を工夫するなどして発声を美少女に変えるか、または地声のままで、美少女の3Dモデル・イラスト等を使い、バーチャルな美少女になること。
https://ja.wikipedia.org/wiki/バ美肉
インパクトの強い単語が並んでいますが、要するに美少女アバターやイラストを使って表現活動することですね。
バ美肉という定義は「美少女アバターを纏うこと」なので、纏う人(中身)は男性でも女性でも性別は関係ないのでしょうが、暗黙的に「男性が女性アバターを纏うこと」を意味する言葉になっているように思えます。
なので、バ美肉紅白というイベントの趣旨からも「男性が女性アバターを纏うこと」を前提でのお話しになっています。
バ美肉という言葉が生まれてから現在までの間にこの辺の技術も目まぐるしく発展していて、いまはパソコンを持っていない人でもスマホやタブレットだけでほぼ思い通りに、そして無料でアバターを作ることができる世の中になっています。
アバターを作ってメタバースで遊ぶためにゲーミングPCやVRゴーグルのような特別な機器が不要で、スマホだけでも全部完結するような世の中になっているんです。
誰でも美少女アバターを簡単に作れるのですが、これは見た目だけのお話しでありここからが本筋です。
メタバースはアバターを介してなりたい自分の姿を自分でデザインすることができる素晴らしい世界ですが、有識者が「そのための最後のピース」と言っているのが声なんですよね。
メタバースで女の子の姿になるのは簡単だけど、声まで女の子になるのが大変難しいという問題なんです。
この問題に捨て身のレベルで真っ向勝負して「女の子の声は諦めておじさんの地声で話す」というのも選択肢の一つで個性だと思います。
しかしながら、多くのバ美肉ユーザーはこの最後のピースである「かわいい女の子の声」を獲るべく様々な方法で「なりたい声になるための努力」をしているのです。
その方法は大きく分けて「喉や声帯を鍛えて自力で女性っぽい声を出す」か「ボイチェン等の機械やソフトウェアを使う」かのほぼ2択になっています。(併用ユーザーも多い)
なりたい声になる二つの方法
自分の声を鍛えて作り上げる両声類(りょうせいるい)
ここでの両声類は、喉や声帯を鍛えて自力で女性っぽい声を出す能力を持った男性を指します。
男性の声も女性の声も出せるので両生類をもじって両”声”類と読んでいます。
女性が男性っぽい声を出すこともこう呼ばれることがありますが、今回の本筋とは関係ないのでそこは割愛です。
両声類の中にはかなり自然に女性っぽい声を出せる人もいるので、一体どういう喉になってるのという気持ちでいろいろ調べたことがあるのですが、上級者の多くは口を揃えて「喉やその周りの筋肉のトレーニングで実現する」とおっしゃっています。
私のような一般人から見ると「筋力でそうはならんやろがい!」ってなっちゃうところですが、両声類の方から「なっとるやろがい!」って言われちゃうやつです。
両声類の方は理想の声になるためになんと10年以上トレーニングを重ねている人が多いようです。
私はそんなトレーニングを10年以上したことがないので、もしかしたら10年トレーニングしたらそのような喉を手に入れることができるのかもしれない?
いや、10年トレーニングしても「やっぱそうはならんやろがい!」って叫んでるかもしれない…
両声類は才能だけでなく、それを遥かに超える努力を積み重ね続けた人が至る高みなのかもしれません。
テクノロジーに頼るボイチェン
専用の機械またはソフト(DTMプラグインも含む)を介して自分の声を女性っぽくする方法です。
専用の機械で現在売られているもので定番の商品はローランドのVT-4というボイスチェンジャーです。
VT-4の価格は3万円くらいなのですが、バ美肉しようとして夢破れた人の遺品(?)として中古市場にけっこう潤沢に出回っていて、使用感が少ないものでも2万円以下で買えることが多いです。
ソフトの方は無料のものから数万円くらいのものまでいろいろありますが、最近ではAIを使った「AIボイチェン」も勢いづいています。
VT-4のような専用機械はほぼリアルタイムに変換されるので自然に会話ができるレベルなのですが、変換後の音質があまり良くない傾向にあります。
一方、ソフトでのボイチェンは専用機と逆で、変換に遅延があるのでリアルタイムの会話が難しいものもありますが、変換後の音質が良い傾向にあります。
ソフトも遅延がかなり軽減されているものもありますが、遅延を慣れやトレーニングで受け流すというユーザーも少なくはないようです。
そして、ここがめっちゃくちゃ重要なんですけど、機械にせよソフトにせよ「男性が地声で喋ってボイチェンをかけても不自然な音声変換にしかならない」のが定説です。
大半の人がそのまま喋っただけだと怪しい匿名インタビューの声かケロケロクリーチャーになっちゃうんです。
なので、ボイチェンに乗せる前に声色をある程度作り込む必要があり、「自力だけでは両声類の力を得られなかった人が、最後のひと押しに使うアイテム」と考えるのが妥当かもです。
ただ、ごく稀に地声にボイチェンをかけるだけで女の子っぽい声になっている人もおられるので、地声との相性もありそうな分野です。
やっと本題、「バ美肉紅白歌合戦」とは?
バーチャル美少女ねむさんやhalさんが中心になって開催しているメタバース上の音楽ライブイベントで、2023年で4回目になるそうです。
イベントの詳細に関してはバーチャル美少女ねむさんがしっかりとイベントの内容をまとめてくださってるので、細かな部分についてはこちらにお任せします。
バ美肉紅白では両声類軍とボイチェン軍に分かれて歌唱を披露して、メタバース会場の来場者投票で「両声類軍とボイチェン軍のどちらがすごかったか」を決めるイベントになっています。
ちなみに、私はボイチェン技術に興味があるのでボイチェン勢を推しているのですが、ボイチェン軍は4連敗中です…
ボイチェン軍もすごいんですが、ほんと両声類の「一体どうなってるの?」感がすごいんですよね…
バ美肉紅白の特徴をまとめると
- バ美肉VTuber8名がボイチェン軍と両声類軍に分かれて各者2曲ずつ歌唱する
- 一般的にメタバースライブは録音歌唱も多いのですが、このイベントは生歌ライブ
- 歌唱後にご自身の発声方法などの技術解説をしてくれる(これが本当にすごいし学びがある)
- スマホだけでも参加できるメタバースClusterで行われているので視聴者が参加しやすい
- YouTube LIVEでも配信されるので気軽に視聴できる
- めちゃくちゃすごいイベントなのに参加費無料(応援アイテムも100円という優しさ、希望する方はVアイテムを使っての投げ銭は可能)
という感じです。
私は、今年初めてリアタイ&メタバースで視聴したのですがメタバース観戦ってとてもいいですね!
現場でライブを見ているような感じで、パターン表情しかないはずのアバターから強い感情が見えるかのようなエモい体験ができました。
エモート(感情アイコンの表示機能)などで会場のお客さまと一体感を得ながら盛り上がる体験も楽しさの一つになっていました。(演者以外はマイクを使えません)
バ美肉VTuberのみなさまはそれぞれ特殊な発声方法で歌うわけですから、中には曲の後半で声のキープが難しそうになる方もおられました。
でも、それも含めてめっちゃくちゃエモいんです。
ほんと、出演者のみなさまがなりたい自分に全力で向き合いながら、それを歌で表現している姿があまりにも尊くて、感動して何回か泣いちゃった…
アバター越しにでも命を削りながら表現しているのが伝わってくるエモさでした。
あとはそれぞれのバ美肉VTuberの歌唱後にある技術解説の部分が本当に興味深くて、「あなたのバーチャルボディの大きな秘密であろうそんなことを無料で解説してくれていいの!?」っていうありがたい驚きがたくさんありました。
しかし、ほんと驚くのは両声類の方の多くは生まれつきの声質とかじゃなくて「喉とか声帯の筋トレで得た声」なところですね…
「筋力は全てを解決する」がこんなところでも具現化されるなんて…
3時間にも及ぶ長いイベントなのですが、飽きることなくずっとボルテージマックスで楽しめて、唯一困ったのがQuest3のバッテリーが途中で切れちゃったことですね!
VRゴーグルユーザーは充電しながら使うか、PCやスマホと併用しながら参戦するといいかもです。
あと、メタバースでの同時入場者数の制限が500人だったのですが、30分前の開場時間から駆けつければ余裕で入れました。
ゴーグルのトラブルの関係で何度か離脱して入り直すなどもしましたが、人数制限で蹴られることはありませんでした。
ただまぁ、これどんどん人気が広がっていくであろうイベントなので来年はどうかわかりませんね!
もしもメタバースで入場できなくてもYoutubeでリアタイ参戦できるのがありがたいです。
「なりたい自分」に向かうことの魅力が詰まった素晴らしいイベント
自分を思い通りにデザインして自らの努力でなりたい自分になれるメタバース、そんなメタバースの中では性別や年齢から解放されて誰でも自由に魂の赴くままの生き方ができると思っています。
肉体や性別から解放されて自分を表現できるというメタバースの魅力がみっちみちに詰まった本当に素晴らしいイベントでした!
ボイチェン勢には夢があり、両声類には憧れが湧く、そんな素晴らしいイベントでした。
来年もとても楽しみだし、ずっとずっと続いて欲しいです!
アーカイブも無料公開されていますので気になる方はぜひ!
ちなみに、こちらのアーカイブならではの魅力にも触れておきたいのですが、撮影しためんどすさんのカメラワークがめちゃくちゃ素敵なんです。
撮影スキルのある方がClusterの機能を使いこなすとこんなすごい映像が撮れちゃうんですね。
出演者のみなさま、スタッフのみなさま、楽しい時間を本当にありがとうございました!
会場で一緒に盛り上がったみんなもお疲れ様でした!!
↑イベント発起人のバーチャル美少女ねむさんの著書「メタバース進化論」がとても学びのある素晴らしい本だったので、これからメタバースに触れたいなと感じている方はぜひ読んでみてね!