スマホのカメラがどれだけ進化しても、私たちがわざわざ大きなカメラを持ち歩く理由。それは、背景がフワァッととろけるような「美しいボケ」が撮れるからですよね。
「でも、どう設定すればボケるの?」 「F値とか被写界深度って難しそう…」
そんなカメラ初心者のあなたへ! この記事を読めば、ボケの仕組みが「感覚的」かつ「ちょっと論理的」に分かります。読み終わる頃には、カメラで何か撮ろうとウズウズしているはずです!

ボケを操る2つのキーワード:「F値」と「被写界深度」
ボケを理解するために覚える言葉は、たった2つだけ。
- F値(絞り):カメラに取り込む光の通り道である「穴の大きさ」
- 被写界深度:ピントが合っている部分の「奥行きの範囲」
これらは別々のものに思えるけど、実は・・・
「穴を大きくすると、ピントが合っている部分が狭くなる = だから前後がボケる!」
という一つの繋がった現象なのです。
順を追って、分かりやすく解説します!
1. F値とは「カメラの瞳孔」である
F値(絞り値)は、レンズ内にある光を通す「穴」の大きさを示す数字です。人間の目の「瞳孔」をイメージすると分かりやすいですね。
- F値が小さい(例:F1.2, F1.8) = 穴が大きく開いている(絞り開放または最大絞り)
- F値が大きい(例:F8, F22) = 穴が小さく絞られている(完全絞りまたは最小絞り)



ここでのポイントは、「F値の数字が小さいほど、穴は大きい」という逆の法則になっていること。最初は混乱しますが、「数字が小さい=光がいっぱい入る大穴!」と覚えてしまいましょう。
2. 被写界深度とは「ピントの合う層」である
カメラのピントは「点」ではなく、カメラと平行な「面(層)」で合います。 このピントがくっきり合って見える層の厚さのことを、専門用語で「被写界深度(ひしゃかいしんど)」と呼びます。
- ピントの合う層が薄い = 被写界深度が浅い(前後が大きくボケる)
- ピントの合う層が分厚い = 被写界深度が深い(手前から奥までくっきり)


【雑学】なぜ「F値を小さく」すると、「被写界深度が浅く(ボケる)」なるの?
なぜレンズの穴の大きさを変えるだけで、ボケたりくっきりしたりするのでしょうか? 下の図解を見てください。ポイントは「光がレンズに入ってくる角度(水色の帯の太さ)」にあります。

F値が小さい(絞り開放)= 光が急角度で入るからボケる!
図の上半分を見てください。F値を小さくしてレンズの穴を大きく開くと、レンズの端の方からもたくさんの光が入ってきます。
- 穴が大きいと、光が「急な角度」で集まってきます(水色の帯が太いですよね)。
- 急な角度で集まった光は、ピントがピタリと合う場所(赤い線)を少しでも通り過ぎると、すぐに大きく散らばってしまいます。
- この「光が散らばった部分」が「ボケ」です。
光がすぐに散らばってしまうため、「ピントが合って見える範囲」がとても狭くなります。だから、真ん中のウサギにはピントが合っても、手前の犬や奥のクマはフワァッと大きくボケるのです。
F値が大きい(絞った状態)= 光が真っ直ぐ入るからボケない!
今度は図の下半分を見てください。F値を大きくしてレンズの穴を小さく絞ってみます。
- 穴が小さいと、急な角度の光が入り口でカットされ、「中心付近の真っ直ぐな光」だけがカメラに入ってきます(水色の帯が細くなっています)。
- 真っ直ぐに近い光は、ピントが合う場所(赤い線)から前後に少しズレても、なかなか散らばりません。
光が散らばりにくいということは、ボケにくいということ。結果として「ピントが合って見える範囲」が前後にグッと広くなり、手前の犬から奥のクマまで全体がくっきりと写るのです。
つまり、「穴が大きいと光が散らばりやすいから、ピントが合う範囲(被写界深度)が極端に狭くなる」。これがボケの正体です!
【作例で比べる】極上のボケと、くっきりパンフォーカス
では!実際にどれくらい写真が変わるのか見てみましょう~。
今回は、クラシカルな見た目がとっても渋いフルサイズカメラ「Nikon Zf」に、よくボケるコシナのマニュアルレンズ「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」をつけてお庭で写真を撮ってみました。被写体は今回初登場フリーレン様のぬいぐるみ🌟
手持ち撮影したので、並べると少しズレていますがそこはご愛敬(*´ω`*)
驚異のF1.2(絞り開放)の世界:主役が浮き上がる!
まずはF値を最小の「F1.2」にして撮影した写真です。

・・・いかがですか?!
フリーレン様のショボーンとしたお顔にはキリッとピントが合っていますが、手前の葉っぱと背景の緑やピンクの花については輪郭が分からないほどフワァッととろけていますよね。
手前の葉っぱがボケることで奥行き感が、背景がボケることでゴチャゴチャした情報が整理されることで、主役が立体的に浮き上がり、パッと目を引く印象的な写真になります!
全体をくっきり見せるF22(最小絞り)の世界
さて次に、カメラの位置はそのまま、F値を最大の「F22」にしてみます。

・・・まるで別の場所で撮ったかのように雰囲気が変わりました!(笑)正直、後ろの電線や歩道の柵は別に映らなくて良かったなぁ。
手前の(大豆の)大きな葉っぱから、フリーレン、そして背景のブロック塀やピンクの花が咲く木(ムクゲ)まで、全体がくっきりと写っていますね。
これが「被写界深度が深くなった状態」です。ボケないかわりに、これがどこで撮影しているのかという周りの状況を説明したいときやストーリーをしっかり伝えたい風景写真などでは、この設定が活躍します。
【比較!】フルサイズ vs マイクロフォーサーズ【本編】
ここで少しだけ、カメラの「センサーサイズ」というマニアックで面白いお話を。
「とにかくボケる写真が撮りたい!」という人には、Nikon Zfのような「フルサイズ」と呼ばれる大きなセンサーを積んだカメラが圧倒的に有利です。一方で、私が愛用しているもう一つのカメラOM-3は、「マイクロフォーサーズ」という少し小さなセンサーを搭載しています。
小さなセンサーのカメラは、構造上「被写界深度が深くなりやすい」という特徴を持っているので、同じF値でもボケ味は少なくなります。同じ理由でスマホのカメラもボケにくいです。ここが一眼レフとの大きな違いです。
実際、フルサイズとマイクロフォーサーズは2段分違うらしいのですが、実際どうなんだろう?という検証もかねてみました🌟
(※F値は1.4→2.0→2.8→4.0→5.6→8→11→16→22の具合に1段ずつあがる。F値が1段増えるとカメラに入る光の量が半分になり写真が暗くなる。同時に、ピントの合う範囲が広がり背景などのボケが少なくなる)
では、いざ尋常に勝負~っ!!
F2.8
左:Nikon ZfのレンズはNOKTON 40mm F1.2 Aspherical。対して、
右:OM-3のレンズは NOKTON 25mm F0.95(フルサイズ換算50mm)です。
ビバ!コシナ対決!焦点距離が違うのはご愛敬~♪(2回目)


・・・やり直し!
――っと、最後まで撮ったのですが、外が曇りで暗かったことと手持ち撮影で手がプルプルしてしてしまったこともあり、後で見返してイマイチだったので後日、室内で撮り直すことにしました。すみません💦
尚、露出補正とホワイトバランスいじっています。ISO200固定のjpgとって出し。単純にボケ味をお楽しみください~。
・・・では改めまして!
F1.2とF0.95


F1.4


F2.0


F2.8


F4.0


F5.6


F8


F11


F16


――え~、感想としては画角の違いはあるけども、フルサイズはボケ味がなめらかな印象ありますね!
ちなみに、どちらが好みでしたか? いやいや、どちらの描写も好きよ❣とおっしゃられる方もいらっしゃるかもしれませんね!
【ここでチャンピオンの登場です!】Milvus 1.4/85【作例】
さて、ここまでくるとボケの凄いのってどんななの?って気持ちになりますよね?? 私はなりました(笑)
そこで、賛否両論あるとは思いますが「至上の描写」をしてくれると噂のカールツァイスのレンズで盛大にボケてもらいましょう!
その名も「Milvus 1.4/85」!(ちなみにOtusは高すぎて手が出せませーん!)
最小F値は1.4になります。もともとはFマウントなんですが、マウントアダプターをとりつけてNikon Zfで撮影してみました!








うん。良いね!(語彙力)
これでレンズが軽ければ文句なしです!()
さあ、今すぐカメラで遊んでみよう!
楽しんでいただけましたか? もう、「被写界深度が〜」と難しく考える必要はありません。
- カメラのモードダイヤルを「A(絞り優先)モード」にする
- ダイヤルを回してF値の数字を一番小さくする
- お気に入りのぬいぐるみやマグカップに、思い切り近づいてシャッターを切る!
たったこれだけで、スマホでは絶対に撮れない、あなただけの「とろけるボケ写真」が撮れるはずです! 理屈が分かった今なら、きっとこれまでよりもカメラが面白く感じるはず。
さぁ!今すぐカメラを手にとって、目の前にあるものをパシャっと一枚撮ってみてくださいね!
(次回は、clusterのカメラについて、または、最近手に入れた魚眼レンズレビューをしていきたいと思います♪)
